演題

PL11-5

正中弓状靭帯圧迫症候群による下膵十二指腸動脈瘤の1例

[演者] 板井 勇介:1
[著者] 平下 禎二郎:1, 多田 和裕:1, 嵯峨 邦裕:1, 高山 洋臣:1, 遠藤 裕一:1, 内田 博喜:1, 岩下 幸雄:1, 太田 正之:1, 猪股 雅史:1
1:大分大学附属病院 消化器外科

正中弓状靱帯圧迫よる腹腔動脈起始部の狭窄が原因と考えられる下膵十二指腸動脈瘤に対し,正中弓状靱帯切離術を施行した1例を報告する.
症例は61歳,男性.アルコール性肝機能障害で近医通院中であった.腹部超音波検査で膵臓に腫瘤性病変を指摘され,CT検査で膵周囲の動脈瘤を認め,当院紹介となった.血管造影検査にて腹腔動脈起始部の狭窄および下膵十二指腸動脈瘤を認めた.また,入院時のCT検査で肝左葉の萎縮と胆管狭窄を伴う肝内結石症を認めた.肝内結石症および下膵十二指腸動脈瘤を伴う正中弓状靭帯圧迫症候群の診断で,手術の方針とし,左肝切除術および正中弓状靱帯切離術を行った.術中血流ドップラー検査にて固有肝動脈の血流評価を行った.正中弓状靭帯切離前は胃十二指腸動脈をクランプすると固有肝動脈の血流が微弱であったが,切離後は血流が改善した.経過は良好であり,術後10日目に退院した.術後1ヶ月後にCT検査を行い,動脈瘤に変化はなく,腹腔動脈起始部の狭窄は改善していた.今後,下膵十二指腸動脈瘤のカテーテル塞栓術を行う予定である.
正中弓状靭帯圧迫症候群による膵十二指腸領域動脈瘤には,腹腔動脈の血流改善と動脈瘤破裂の予防が必要である.本症例では,正中弓状靭帯圧迫解除を先行して腹腔動脈の血流改善を行った上で,下膵十二指腸動脈瘤のカテーテル塞栓術を行うことにより,動脈瘤破裂を予防する方針とした.
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