演題

PL11-4

右胃大網動脈を用いた冠動脈バイパス術後の膵内分泌腫瘍に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した1例

[演者] 的場 秀亮:1
[著者] 横山 正:1, 日下部 誠:1, 高田 英志:1, 上田 純志:1, 平方 敦史:1, 丸山 弘:1, 牧野 浩司:1, 吉田 寛:1, 内田 英二:2
1:日本医科大学多摩永山病院 消化器外科・乳腺外科・一般外科, 2:日本医科大学付属病院 消化器外科

症例は71歳の男性.糖尿病,脂質異常症,高血圧症,陳旧性脳梗塞,肥満症の既往があり急性心筋梗塞に対して本学附属病院心臓血管外科で18年前に右胃大網動脈(以下,RGEA)グラフトを使用した冠動脈バイパス術(以下,CABG) (LITA-D2-LAD,RGEA-#4AV)を施行している.上腹部痛を主訴に他院クリニックを受診し精査・加療目的に当院消化器内科を受診した.腹部造影CTで膵頭部に造影効果を伴う26mm大の腫瘤影を認め周囲の脂肪織の濃度上昇も認め膵炎合併神経内分泌腫瘍の疑いで緊急入院となった.MRIで膵鉤部に嚢胞性病変を認め,膵頭部に35×25mm大の拡散強調像で高信号を示す腫瘍性病変を認めた.膵実質は腫大し主膵管は拡張しておりPET-CTでは膵体尾部癌の可能性が否定できなかった.膵切除術が必要と考えられCABG後であることを考えると事前の血行再建術が望ましいと考えられたが,膵体尾部癌が存在した場合は血行再建術を施行する時間的余裕があるかが問題となった.超音波内視鏡下穿刺生検法(以下,EUS-FNA)による術前の診断が必要と考えられ他院消化器科に依頼した.膵体尾部癌は否定的で膵頭部の腫瘍については膵神経内分泌腫瘍(以下,PNETs)の診断を得ることができた.亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(以下,SSPPD)の方針となり,胃十二指腸動脈の分枝が腫瘍の栄養血管であるため手術の安全性を考えるとやはりRGEAの処理が必要と判断されたため本学附属病院心臓血管外科に血行再建を依頼した.再開胸下に大伏在静脈グラフトを使用して血行再建を行い開腹下にRGEAを中枢側で切除し同グラフトに吻合し腹腔内グラフトを解消した.その後,当科入院下で肥満症,及び開腹歴があるため術中操作に難渋しつつもSSPPDを完遂した.術後の経過は良好であり26PODで退院となった.今回我々は各科,各施設の連携の下で手術に難渋する様々な合併症,及びリスクのあるPNETsの症例に対してSSPPDをトラブルなく遂行し得た1例を経験したため報告する.
詳細検索