演題

PL11-2

一般市中病院における安定した膵空腸吻合(Blumgart変法)を用いた膵頭十二指腸切除術

[演者] 岡島 千怜:1
[著者] 長濵 雄志:1, 冨井 知春:1, 藤森 嘉毅:1, 岡田 洋次郎:1, 伴 大輔:2, 田邉 稔:2
1:九段坂病院 外科, 2:東京医科歯科大学附属病院 肝胆膵外科

膵頭十二指腸切除術の手術成績に最も影響する膵腸吻合術は,膵液瘻などの合併症を予防するために現在も吻合法の様々な工夫が行われている.当科の膵空腸吻合法は水平マットレス式密着縫合をmodifyしたBlumgart変法縫合を施行している.
当科は全麻症例が約250症例/年(H27年12月~H28年11月),そのうち4例の膵十二指腸切除術を施行した.症例は年齢73~81歳.疾患はIPMC,膵鈎部癌+NET,腎癌術後転移性膵腫瘍,浸潤性膵管癌.膵実質の性状は高度萎縮を認めたものが2例,軽度萎縮,正常膵が各1例であった.平均手術時間は438分(348~473分),出血量は475ml~5000mlとなった.
当科での膵空腸吻合の手順は,まず膵実質-空腸漿膜筋層密着縫合のため,3-0 polypropyleneを2~4針用いて膵実質を前壁から後壁方向へ貫通させ,空腸漿膜筋層を長軸方向に運針後,再び膵実質を後壁から前壁方向へ貫通させる.次に空腸に小孔を開け,5-0モノフィラメント吸収糸を用いて膵管膵実質-空腸全層縫合を約8針で行う.不完全外瘻を基本として節つき膵管チューブを膵管内へ挿入し,後壁縫合糸にて固定する.最後に膵実質を貫通させた3-0 polypropyleneを空腸漿膜筋層に運針し,膵切離面全面を覆うように空腸壁を配置して結紮.ドレーンは膵空腸吻合部とウインスロー孔にシリコンドレーンを留置し,低圧持続吸引管理としている.術後は1例のみgrade Aの膵液瘻を認めたがドレナージのみで軽快し,術後4週目に膵管チューブ・ドレーン抜去となった.その他の症例では術後膵空腸ドレーン中AMYの上昇はなく,術後7日目に膵空腸吻合部ドレーン抜去,術後4週間で膵管チューブ抜去が可能であった.術後在院日数は平均34日(19~37日)となった.
Blumgart変法は,膵実質の運針が少ないため針穴からの膵液漏出が少ないこと,膵断端を包むように空腸漿膜筋層縫合を行うことで微小膵管からの膵液漏出減少や空腸壁がクッションとなり結紮糸の牽引による膵実質裂傷を軽減できること,膵腸粘膜縫合時の視野確保が容易であることなどの点で,柿田法や陥入法と比較して重症の膵液瘻合併率が低いとの報告が近年増加している.安定した手技,時間で膵腸吻合を行うことがでるため,症例数の少ない施設で選択される方法としては最適な吻合法と思われる.
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