演題

PL11-1

Soft pancreasに対する膵頭十二指腸切除における再建の工夫

[演者] 柿木 啓太郎:1
[著者] 山下 博成:1, 大山 正人:1, 杉山 宏和:1, 大村 典子:1, 安田 貴志:1, 今西 達也:1, 千堂 宏義:1, 藤野 泰宏:1, 富永 正寛:1
1:兵庫県立がんセンター 消化器外科

Introduction:
膵液瘻は膵頭十二指腸切除後の重要な合併症である.Soft pancreasは膵液瘻のリスクファクターのひとつであり,切離,再建法についてさまざまな試みがなされてきた.我々の施設におけるSoft pancreasに対する膵頭十二指腸切除時の膵切離,再建の工夫に関して,定型化された手術手技を供覧し,手術成績について報告する.
Materials and Methods:
2014年4月から2016年12月まで当科で行った膵頭十二指腸切除のうち,Soft pancreasで膵管拡張のなかった35例について報告する.膵液瘻の診断はISGPFの定義で行った.
Surgical technique:
膵切離に関しては,実質は主に超音波凝固切開装置を用いており,主膵管周囲はメス,もしくは電気メスで鋭的に切離する.再建は膵管空腸粘膜吻合および,Blumgard法をmodifyした水平マットレス縫合(Blumgard変法)を行っている.Soft pancreasでは主膵管非拡張症例がほとんどのため,膵管空腸粘膜吻合時にもより安全,確実な吻合のため,様々な工夫を行っている.また,Soft pancreas,主膵管非拡張症例では4Fr膵管チューブをロストステントとして留置している.Blumgard変法は,マットレス縫合(いわゆるU suture)を主膵管の頭尾側にそれぞれ幅広く1針ずつおくことで,膵実質への縫合針による損傷を最小限にとどめている.また,開腹時に幅広く採取しておいた肝炎索で剥離血管(総肝動脈~胃十二指腸動脈切離断端~固有肝動脈)を被覆することで,剥離動脈が膵液へ接触することを防止している.
Results:
平均年齢は66.6(39-89)歳であった.全例で膵管空腸粘膜吻合(ロストステント留置)を行い,膵空腸密着縫合はBlumgard変法を28例,柿田式を7例に行った.手術時間中央値は391分,術中出血量中央値は500mlであった.術後合併症はClavien-Dindo II以上を16例(45.7%)に認めた.GradeB/C膵液瘻は7例(20%)に認めた.在院死亡はなく,術後在院日数中央値18日であった.
Conclusion:
当施設におけるSoft pancreasに対する膵頭十二指腸切除時の膵切離,再建法の手術手技を提示した.軽微な膵液瘻を完全に防ぐことはできなかったが,重篤な膵液瘻の発生はなく,Soft pancreasに対する膵頭十二指腸切除後としては,文献的にも許容できる程度で,安全かつ有効な方法と考えられた.
詳細検索