演題

食道胃接合部腺癌の至適リンパ節郭清範囲:全国調査結果から

[演者] 山下 裕玄:1
[著者] 瀬戸 泰之:1, 佐野 武:2, 幕内 博康:3, 安藤 暢敏:4, 笹子 三津留:5
1:東京大学大学院 消化管外科学, 2:がん研究会有明病院 消化器外科, 3:東海大学付属八王子病院 外科, 4:国際親善総合病院 外科, 5:兵庫医科大学病院 集学的腫瘍外科学

【背景】
食道胃接合部腺癌は世界的に患者数が急増しており,わが国においても増加傾向が認められている.食道と胃の境界という解剖学的特殊性のため,その治療法を考えるときに食道癌,胃癌,あるいは独立した疾患として扱うべきかの議論がある.外科的切除範囲についてもこれまで明確な回答がなかった.
【方法】
日本胃癌学会・日本食道学会の登録施設を対象とし,2001年から2010年の10年間でR0切除を行った食道胃接合部癌症例を後方視的に調査した.巨大な腫瘍の場合には食道胃接合部の認識が困難であると考えられたため,腫瘍長径は4cm以下に限定した.
【結果】
計273施設から3175例のデータが集積した.術前治療,胃切除の既往,郭清・転移リンパ節個数が不明な症例,腺癌以外の組織型を除いた2384例を対象として検討を行った.接合部癌分類のE,EG,E=Gを食道優位,GE,Gを胃優位の占居として2つに分けた.いずれにおいても深達度T2以深ではNo.4,5,6の郭清は高頻度に行われていたが,中縦隔より口側の郭清頻度は低かった.転移頻度が高かったのはいずれにおいてもNo.1,2,3,7であり,食道優位のものでは下縦隔リンパ節も膵上縁と同様に高かった.一方,No.4,5,6といった幽門側胃の壁在リンパ節への転移は極めて少なく,その郭清効果は低いと評価できた.上・中縦隔リンパ節についての至適郭清範囲については郭清頻度が低く本調査では明確な結論が得られなかった.
【結論】
4cm以下の食道胃接合部腺癌では,深達度に関わらずNo.4,5,6の郭清効果は低く,予防的リンパ節郭清を目的とした胃全摘は必ずしも必要ではないと考えられた.縦隔リンパ節の至適郭清範囲については引き続いての検討課題である.
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