演題

PL10-3

膵頭十二指腸切除後膵液瘻発症予測因子の検討

[演者] 佐々木 秀:1
[著者] 中光 篤志:1, 香山 茂平:1, 杉山 陽一:1, 田崎 達也:1, 中村 浩之:1, 上神 慎之介:1, 馬場 健太:1, 亀田 靖子:1, 田妻 昌:1
1:JA広島総合病院 外科

【はじめに】近年の周術期管理の進歩により膵頭十二指腸切除術(PD)の安全性は向上したが,依然として膵液瘻は腹腔内出血などの致死的合併症の原因として問題となる. 当院で施行したPDの膵液瘻発生に関わる因子について検討しドレーン分離菌との関連およびその管理について考察した.【対象】過去5年間に施行したPDは98例であり,膵消化管再建は膵管胃粘膜吻合を76例に(PPPD:54,SSPPD:21,PD:1),膵管空腸粘膜吻合を22例に施行した(PPPD:14,SSPPD:5,PD:3).【術後管理】膵消化管吻合部ドレーンAMYおよび排液培養検査を術後第1第3病日に提出しISGPF基準でgradeAまでの場合第5病日までにドレーンを抜去した.術前減黄症例では胆汁培養結果から感受性を有する抗菌薬を術後48時間使用し,無黄疸など胆汁培養結果不明症例ではCefazolinを予防抗菌薬として術後24時間使用し,術中胆汁のグラム染色で陰性桿菌が検出された場合は術中よりCefpiromeに変更し術後48時間投与した.【検討項目】(1)膵液瘻発症率 (2)胆汁培養とドレーン排液培養の関連(3)臨床的膵液瘻発生予測因子【結果】(1)ISGPF基準による膵液瘻発生率はgradeA 27例(27.6%),gradeB 10例(10.2%),gradeC 0例であった.(2)胆汁培養陽性率は50/90例=55.6%で分離菌はほとんどが腸内細菌群であった.ドレーン排液培養陽性率は26/98例=26.5%で胆汁培養検出菌と一致していたのは7例のみであった.(3) 年齢(≧72才),性別,BMI(≧25),対象疾患(膵癌/膵癌以外),Alb(≦3.5g/dl),HbA1c(≧6.5%),出血量(≧350ml),輸血の有無,膵再建法(PJ/PG),術前減黄の有無,胆汁培養陽性の各項目は有意差を示さなかったが,正常膵(10/58vs0/40, p=0.001),第1病日ドレーンAMY値3300U/L以上(10/35vs0/63, p=0.0001),手術時間450分以上(9/55vs1/43, p=0.04),第3病日ドレーン排液培養陽性(7/24vs3/74, p=0.002)の4因子が単変量解析で有意に膵液瘻発生率が高く,多変量解析では第3病日ドレーン排液培養陽性(OR=4.25, p=0.02)のみが独立した膵液瘻の予測因子であった.【考察】術翌日のドレーンAMY高値症例において臨床的膵液瘻への進展には細菌感染が重要な役割を果たしていると考えられ周術期胆汁培養結果を参照した抗菌薬の選択が必要である.また術後3日目までにドレーン排液より細菌が検出された場合は感受性を考慮した抗菌薬の追加変更とドレーン入れ替えや洗浄といった対策が必要と考えられた.
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