演題

PL10-2

膵全摘患者に対するインスリンポンプ療法を用いた新たな血糖管理

[演者] 吉田 龍一:1
[著者] 楳田 祐三:1, 信岡 大輔:1, 杭瀬 崇:1, 熊野 健二郎:1, 國府島 健:1, 高木 弘誠:1, 荒木 宏之:1, 八木 孝仁:1, 藤原 俊義:1
1:岡山大学大学院 消化器外科学

【はじめに】近年,主膵管型IPMN・主膵管内進展著名な膵癌・化学療法の発達に伴い治癒切除可能となる局所進行膵体癌・残膵再発など膵全摘・残膵全摘の対象となり得る患者数は増加傾向にある.しかしながら永久的な膵内外分泌機能廃絶に陥るため,膵全摘・残膵全摘は躊躇されがちな現状も存在する.我々は,膵全摘・残膵全摘患者の新しい血糖管理法として,携帯型インスリンポンプを用いたインスリンポンプ療法(Continuous subcutaneous insulin infusion:以下CSII)を臨床応用している.経験症例は少ないものの,従来法と比較して理論的・実践的に様々な利点を有した新たな血糖管理法であり報告する.
【適応と方法】CSII適応は,膵全摘施行後経過・コンプライアンス良好で原疾患の予後が見込めるものとしている.CSIIは,インスリン基礎投与量・インスリン効果値・糖質インスリン比を決定し皮下穿刺針から基礎投与量を持続投与する.毎食の糖質摂取量を入力するとポンプが体内残存インスリン量を算出,インスリン投与量を自動決定しボーラス投与される,といった新しい血糖管理法である.
【症例提示】32歳男性.切除不能膵多発癌に対し化学療法が著効し膵全摘術を施行した.術後CSII導入.基礎投与量2.1単位/day・糖質インスリン比19-22・インスリン効果値70-80の設定とした.現在CSII導入1年2か月,術後補助化学療法に応じて基礎投与量を調整しながら安全で安定した血糖管理を継続中である.
【利点】CSIIの利点は①基礎投与量を時間帯毎に設定可能であるため従来法よりも効率的に低血糖発作を予防可能②化学療法施行日やsick dayや運動負荷日には基礎投与総量を調節可能③血糖値推移や食事内容はクラウドサービスを介し主治医・患者間で共有可能⑤注射回数の激減によるQOL改善などが挙げられる.
【結語】膵全摘・残膵全摘適応は,根治性と合併症のバランスを考慮し決定されるべきであるが,CSIIの導入は術後安定した血糖管理を可能とし,膵全摘・残膵全摘適応拡大の一助となり得る可能性がある.
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