演題

PL10-1

膵癌組織におけるHepcidin・Ferroportin発現と臨床病理学的意義の検討

[演者] 俊山 礼志:1,2
[著者] 今野 雅允:2, 野田 剛広:1, 西田 尚弘:1,2, 川本 弘一:1,2, 江口 英利:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1, 石井 秀始:3
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ, 2:大阪大学大学院 消化器癌先進化学療法開発学, 3:大阪大学大学院 癌創薬プロファイリング学

【はじめに】
鉄は生体反応に不可欠だが,過剰状態では活性酸素種が生成され,発癌に関与することが知られている.鉄の恒常性は,肝臓で合成される鉄代謝ホルモンのHepcidinがexporterであるFerroportinを制御することで維持されている.癌組織において,Hepcidinの発現亢進と下流のFerroportinの発現抑制が認められ,癌細胞内の鉄濃度が増大し,癌細胞の増殖を促進していると報告されている.本研究においては,膵癌組織におけるHepcidinとFerroportinの発現と臨床病理学的因子について検討を行ったので報告する.
【対象と方法】
2007年3月から2013年9月に当科で外科的切除を施行した膵癌92症例を対象とした.免疫組織染色法により,癌部におけるHepcidinとFerroportinの発現を検討した.92例を弱染色群と強染色群に分類し,臨床病理学的因子および予後との関連を検討した.生存解析は,Kaplan-Meier法より解析を行った.
【結果】
Hepcidinの発現に関して,弱染色群26例と強染色群66例の2群に分類された.強染色群では,有意にStageの進行例(P=0.049),術前CRT非施行例(P=0.035)が多かった.生存解析では,強染色群で有意に予後不良であった(P=0.014).全生存期間における単変量・多変量解析ではly+ (P=0.036),術後補助化学療法非完遂例(P<0.0001), Hepcidinの発現(P=0.0481)が独立した予後不良因子であった.一方,Ferroportinの発現に関して,弱染色群52例と強染色群40例の2群に分類された.強染色群では,有意にv-(P=0.024)の症例が多かった.生存解析では,弱染色群で有意に予後不良であった(P=0.048).単変量・多変量解析ではly+(P=0.036),術後補助化学療法非完遂例(P<.0001), Ferroportinの発現(P=0.0061)が独立予後不良因子であった.
【結語】膵癌切除例において,癌組織におけるHepcidinの発現,およびFerroportinの発現はいずれも独立した予後不良因子であり,HepcidinおよびFerroportinの発現は,新規予後予測因子となりうる可能性が示唆された.
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