演題

PK12-3

当科における膵全摘症例の術後糖尿病および栄養状態の検討

[演者] 横山 智至:1
[著者] 上野 剛平:1, 宮本 匠:1, 上村 良:1, 細川 慎一:1, 米永 吉邦:1, 伊東 大輔:1, 一宮 正人:1, 山下 好人:1, 宇山 志朗:1
1:日本赤十字社和歌山医療センター 外科

【背景】
膵全摘術(TP)は,以前術後管理が困難であり術後QOL低下のため,実施が控えられる傾向にあったが,最近では周術期管理の進歩とTP後に投与する高単位消化酵素製剤や血糖管理の進歩により,実施されることが多くなっている.当科ではこれまでTPは行っていなかったが,2013年より適正な症例選択のもとこれまでにTP7例経験した.
【対象と方法】
2013年11月から2016年12月まで当科で施行した7症例について術後糖尿病,栄養状態について検討した.評価項目は術前,術後の必要とした投与インスリン量,HbA1c, Alb,T-cho,BMIとした.また術前,術後CT値にて脂肪肝の有無を評価した.
【結果】年齢中央値は73歳(54-77).男女比=4:3,原疾患は膵癌4例,IPMN/慢性膵炎1例,腎癌膵転移2例.術式は予定TP 4例.術中TP移行 3例.5例で術前より糖尿病を認めていた.術後在院日数中央値25日(15-36)で,術後CD分類GradeⅡの合併症は3例(42%)(誤嚥性肺炎,胆管炎,左腎静脈血栓)に認めたが,GradeIII以上は認めなかった.在院死なし.退院時のインスリン必要量は平均22単位.HbA1cは術前,術後3ヶ月後,6ヶ月後,1年後は7.3,7.4,7.35,7.5%.術後はほぼ全例に膵酵素剤を投与しているが,術前,術後3ヶ月後,6ヶ月後,1年後の血清アルブミン値は3.8,3.6,4.2,3.6mg/dl.術前,術後3ヶ月後,6ヶ月後,1年後の総コレステロール値は173,142,171,168mg/dl.術前,術後3ヶ月後,6ヶ月後,9ヶ月後,1年後のBMIは21.4,20.7,20,19.5,20.3.術後脂肪肝は2例に認めた.退院後は低血糖発作,ケトアシドーシスのエピソード無し.膵癌症例のうち2例で術後補助化学療法(S-1)が行われた.また膵癌症例4例全てで,早期再発(3-7ヶ月)を認め,1例は術後4ヶ月で原病死した.
【結語】TP後の術後糖尿病についてHbA1cはやや高めでコントロールされていた.またBMIは術後9か月まで低下を認めた.その他の栄養状態としては術前と比較しても著変なかった.高単位消化酵素薬や強化インスリン療法の導入により,TP後の糖尿病および栄養状態は比較的に良好に管理できており,重篤な合併症は認めておらず安全に施行可能と思われる.また中長期の血糖管理,栄養状態評価からも比較的安定していた.術前より糖尿病内分泌内科と密接に連携することが良好な管理を可能にできた要因の一つと考えられた.
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