演題

PK11-6

膵頭十二指腸切除術後動脈瘤,静脈瘤からの2度の出血に対しステント留置を行った膵癌の1例

[演者] 山崎 將人:1
[著者] 富澤 悠貴:1, 左近 龍太:1, 井上 貴博:1, 佐藤 俊:1, 小根山 正貴:1, 網木 学:1, 太田 竜:1, 成田 和広:1, 後藤 学:1
1:川崎幸病院 消化器病センター外科

【はじめに】今回仮性動脈瘤からの腹腔内出血に加え,門脈狭窄による空腸静脈瘤からの消化管出血を来した膵癌術後症例を経験し,2度のIVR処置にて救命し得たので報告する.
【症例】58歳,男性.糖尿病にて通院中,肝機能障害を認め腹部造影CTにて膵頭部に境界不明瞭な毛羽立ち所見を有する約2cm強大の腫瘤が判明.膵頭部癌T3, N0, M0の診断にてSSPPD-II-A-1+門脈再建を施行.ドレーンアミラーゼ値はPOD1 1551IU/L, POD3 2930IU/L. POD5 763IU/Lと経過,第9病日の造影CTでは膵腸吻合部周囲に液体貯留を認め,POD10のドレーンアミラーゼ値は60680IU/Lと著高した.第15病日膵腸吻合部ドレーンより出血を認め,CT施行.明らかな血管外漏出像は認めなかったが緊急血管造影を施行.GDA断端からの出血を認め,肝動脈血流を温存する目的でステント留置(Express 6mm径-18mm),その後仮性瘤内へDeltamax 2本,Galaxy 4本にてコイル塞栓施行.確認の造影にて肝動脈は温存され仮性瘤は描出されなくなった.その後ドレーン管理を含めた膵液瘻治療を続行.第43病日膵腸吻合部ドレーンよりわずかな出血を認めたがCTでは出血源は確認不能.第56病日RTBD tubeより少量の出血.造影CTでは出血源は不明も門脈の狭小化を認めた.第58病日再度,同出血あり緊急内視鏡にて,胆管空腸吻合部側からの出血が疑われたが出血源は同定しえなかった.再三の出血を繰り返しているため緊急血管造影を施行.出血の原因としては門脈狭小化による門脈圧亢進,空腸静脈瘤を疑った.第59病日,再度,同出血を認め,第61病日全身麻酔下に小開腹し,回腸静脈経由にて門脈造影を行った.門脈本管血流は途絶し,挙上空腸経由の副側血行から門脈左枝が描出.12mm径40mm長のEpic vascular stentを留置,後拡張を行った.留置後造影にて血栓形成を認めシースからの血栓吸引とヘパリン7000U ivを行ない,造影欠損の消失を確認,門脈閉塞は改善.直後よりバイアスピリン100mg/日の内服を行ったが第67病日のCTにて門脈内血栓を認め,ヘパリン,ウロキナーゼへ変更.その後再出血はなく,徐々に全身状態も改善,血栓は消失しなかったがワーファリンへ置換後,第93病日退院.一過性に腹水管理に難渋したが投薬にて改善し現在(術後1年)外来通院中.
【まとめ】膵頭十二指腸切除術後出血に対し動脈,門脈ステント留置の報告は少なく,肝動脈血流が維持しえたため肝不全には至らなかったものと推察.
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