演題

PK11-5

膵体尾部切除術後における門脈/脾静脈血栓症の臨床病理学的検討

[演者] 田中 伸孟:1
[著者] 山田 豪:1, 藤井 努:1, 多代 充:1, 森本 大士:1, 高見 秀樹:1, 林 真路:1, 杉本 博行:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【背景・目的】
膵体尾部切除(DP)術後の合併症として門脈・脾静脈血栓症(PSVT)は重篤な合併症の一つとして認識されている.しかしながら,膵切除術後のPSVT発生率は 3.5%と報告され比較的稀な合併症でもあるため,DP後のPSVTに関して検討された報告は皆無である.今回われわれは,DP術後のPSVT発生症例について臨床病理学的検討を行い,リスク因子の抽出を目的とした.

【対象・方法】
2008年 1月から 2016年 10月までの間に,当教室にてDPを施行した 130例を対象とした.PSVT発生の有無については,術後の造影CT検査にて評価した.術式としては開腹・腹腔鏡手術を含め,脾温存症例は除外した.臨床病理学的因子として,患者背景因子,手術因子,術後因子について後方視的に解析を行い,PSVT発生のリスク因子を抽出した.

【結果】
PSVTは 19例( 14.8%)に認め,そのうち 6例( 4.6%)は門脈血栓症であり,門脈・脾静脈血栓が合併していたものは 2例のみであった.平均年齢は 53.7歳,男女比は 12/7,平均BMIは 22.2kg / m2であり,疾患としては膵癌 4例,IPMN 2例,NET 4例,SPN 3例,MCN 2例,その他 4例であった.また,平均手術時間 272分,平均出血量 573mlであった.19例のPSVT症例中,他臓器合併切除を2例,腹腔鏡手術を6例に認めた.ISGPF grade B以上の膵液瘻は 6例( 31.6%)であった.PSVT診断後に 5例は抗凝固療法の介入,その他は自然軽快した.PSVT発生のリスク因子につき単変量解析を施行すると, 65歳以上,腹腔鏡手術,下腸間膜静脈温存,残存脾静脈長 23mm以上,脾静脈機械切離,腹腔内膿瘍がリスク因子として抽出され,多変量解析では,残存脾静脈長 23mm以上と腹腔内膿瘍が独立因子であった.

【結語】
DP術後に残存脾静脈長が 23mm以上または腹腔内膿瘍形成は有意なPSVT発生のリスク因子であった.したがって,これらの症例には厳重な画像評価により術後管理をする必要がある.
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