演題

PK11-4

膵切除後の腹腔内出血に対するInterventional Radiologyの有用性

[演者] 松村 和季:1
[著者] 橋本 大輔:1, 梅崎 直紀:1, 甲斐田 剛圭:1, 中川 茂樹:1, 今井 克憲:1, 山下 洋一:1, 近本 亮:1, 石河 隆敏:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学附属病院 消化器外科

【背景】膵切除の合併症は手術手技の向上やデバイスの進化により減少はしているが,いまだに膵液漏・腹腔内膿瘍などの術後合併症発症率は高い.その中でも腹腔内出血は,発生率が約5-6%,死亡率は約1-2%といまだ避けられない致死的合併症の一つである.術後腹腔内出血に対する治療の第一選択はInterventional Radiology (IVR)と考えられている.今回,膵切除後の腹腔内出血に対するIVRの有効性,安全性を検証した.
【対象】2012年5月から2016年11月までに膵切除術を施行した216例を対象とした.術式の内訳は膵頭十二指腸切除術132例,膵体尾部切除術65例,膵全摘術10例,膵部分切除術(および核出術)5例,膵中央切除術4例であった.
【結果】腹腔内出血を9例(4.2%)に認めた.疾患別では膵神経内分泌腫瘍3例,下部胆管癌2例,胆嚢癌1例,乳頭部癌1例,腎癌膵転移1例,膵充実性偽乳頭状腫瘍1例,十二指腸GIST1例であった.術式は亜全胃温存膵頭十二指腸切除術7例,膵腫瘍核出術1例,膵体尾部切除術1例で,有意に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が多かった.出血の原因は胃十二指腸動脈断端の仮性動脈瘤出血6例,背側膵動脈の仮性動脈瘤出血1例,肝動脈分枝出血1例,膵断端出血1例で,全例にIVRを施行した.9例全てで止血が得られた.IVRの合併症として肝膿瘍(1例)や脾梗塞(1例)を認めたが,全例を救命できた.
腹腔内出血を起こした症例は全例でsoft pancreasであり,9例中7例に術後膵液漏(ISGPF Grade B<)を起こしていた.また術後膵液漏を伴わなかった2例はともに術後2週間以内に腹腔内出血を起こしており,逆に術後膵液漏を起こした7例のうち5例は術後2週間以上経過した後に腹腔内出血を起こしていた.
【考察】ISGPF Grade B以上の膵液瘻は,術後急性期を過ぎた後の腹腔内出血のリスクファクターと考えられる.術後腹腔内出血に対するIVRは出血部位の診断と同時に迅速な止血術を行うことができ極めて有効である.ドレナージチューブの血性への変化など予兆があればvital signや血液検査が変化する前に仮性動脈瘤を疑い積極的に精査すべきである.大血管からの出血でない限り,IVRは安全に施行でき,有効な治療手段であることが示された.
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