演題

PK11-3

肝破裂および胆汁性腹膜炎を来したGroove膵癌の1例

[演者] 田中 智浩:1
[著者] 金田 邦彦:1, 福井 慶介:1, 高瀬 信尚:1, 谷 孝文:1, 西村 透:1, 原田 直樹:1, 上野 公彦:1, 高松 学:1
1:加古川中央市民病院 外科

今回我々は,肝破裂と胆汁性腹膜炎を来したGroove膵癌という非常に稀な症例を経験したので報告する.医中誌でGroove膵癌,肝破裂,胆汁性腹膜炎をキーワードに検索したが,本邦での報告は会議録を含め1例も認められなかった.
症例は75歳男性.近医で胆嚢炎に対し胆摘予定であったが,経過中著明な腎機能低下がみられ,当院へ搬送転院となった.腹部単純CTでは腹腔内に多量の腹水がみられ,腹水穿刺で胆汁性腹膜炎と診断した.MRCPでは,左右肝管が低位で合流しており,右肝管から胆嚢管が分岐していた.搬送同日に緊急開腹手術を行い,肝左葉表面に径1-2mm程度の小孔があり胆汁の漏出が認められた.胆嚢摘出および左肝管のTチューブドレナージを施行した.術中胆道ファイバーでは,下部胆管は完全閉塞を来していたが,明らかな腫瘍は認められなかった.
術後は人工透析を含む集中治療を行い,状態が安定した後に精査を行った.腹部造影CTで膵頭部に腫瘍がみられた.上部消化管内視鏡では十二指腸下降脚に全周性の狭窄があったが,粘膜面に明らかな腫瘍はみられなかった.胃角部小弯にはⅡc早期癌が認められた.超音波内視鏡を行ったところGroove領域に腫瘍があり,穿刺生検ではadenocarcinomaが認められた.以上よりGroove膵癌と早期胃癌の重複癌と診断し,初回手術から41日目に膵頭十二指腸切除術(PD-Ⅱ)を施行した.病理組織検査では,胃癌は深達度sm2,組織型はtub2であった.膵癌はmoderately differentiated adenocarcinomaであり,胆管および十二指腸に浸潤がみられた.No6およびNo17リンパ節にそれぞれ1個ずつ転移が認められ,形態から膵癌の転移と考えられた.術後は膵液漏を合併しており,徐々に改善がみられている.退院後は,S-1内服による術後補助化学療法を行う予定である.
本例は,Groove膵癌による胆道閉塞と,肝管の走行異常により左肝管内圧が上昇し肝破裂を来した非常に稀な症例と考えられた.
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