演題

PK11-2

腎移植後に膵頭十二指腸切除を施行した3例

[演者] 葛原 啓太:1
[著者] 生駒 久視:1, 庄田 勝俊:1, 森村 玲:1, 有田 智洋:1, 小菅 敏幸:1, 小西 博貴:1, 藤原 斉:1, 岡本 和真:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学附属病院 消化器外科

【はじめに】腎移植後は長期的な免疫抑制薬の内服が必要になる.近年では免疫抑制薬の長期内服による発癌率の上昇が指摘されている.腎移植の治療成績の向上により,腎移植後の悪性腫瘍の発症は今後増加が予想される.当院では腎移植後で消化器外科領域では手術侵襲,術後合併症ともに最高といわれる膵頭十二指腸切除を3例経験したため,文献的考察を加えて報告する.
【症例①】54歳男性【主訴】腹痛【現病歴】生体腎移植後26年で移植外科外来通院中.心窩部痛の精査のCTで膵鈎部に腫瘤を認め,膵臓癌が疑われたため当科紹介となった.【内服】イムラン50mg1.5錠,プレドニゾロン5mg1錠【術中所見】亜全胃温存膵頭十二指腸切除,D2リンパ節郭清,膵胃吻合再建を施行した.手術時間は15時間45分,出血量は2100mlであった.【術後経過】術後8日目(以後POD)ドレーン造影で膵胃吻合部の縫合不全が疑われた.25POD食事開始した.30POD退院とした.
【症例②】63歳女性【主訴】なし【現病歴】腎移植後8年で移植外科外来通院中.フォローアップCTで主膵管拡張を認め,精査で膵臓癌の診断で当科紹介となった.【内服歴】ブレディニン50mg4錠,プレドニゾロン5mg1錠【術中所見】亜全胃温存膵頭十二指腸切除,D2リンパ節郭清,膵胃吻合再建を施行した.手術時間は10時間17分,出血量は693mlであった.【術後経過】8POD発熱ありCTで腹腔内膿瘍形成あり,CTガイド下ドレナージを施行した.50PODドレーンを抜去した.胆管炎を繰り返し入院が長期化した.123POD退院とした.
【症例③】67歳男性【主訴】なし【現病歴】腎移植後15年で移植外科外来通院中.フォローアップCTで膵頭部に嚢胞性病変を指摘され,精査で混合型IPMNの診断で当科紹介となった.【内服歴】ブレディニン50mg1錠,プレドニゾロン5mg1錠【術中所見】亜全胃温存膵頭十二指腸切除,膵胃吻合再建を施行した.手術時間は7時間17分,出血量は160mlであった.【術後経過】23POD胆管炎になる.29POD食事再開した.41POD退院とした.
【考察】本術式で最も懸念される膵液瘻を重症化しにくいといわれる膵胃吻合を消化管吻合に採用し良好な結果を得た.しかし,周術期管理としては免疫抑制薬内服による易感染性誘導,糖代謝能悪化,線維芽細胞増殖抑制による創傷治癒・組織修復遅延などが指摘されており,適応は慎重に行わなければならない.【結語】腎移植後の膵頭十二指腸切除後を3例経験した.
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