演題

PK11-1

血液透析患者における膵癌手術症例の検討

[演者] 寺田 卓郎:1
[著者] 三井 毅:1, 高橋 智彦:1, 杉田 浩章:1, 奥出 輝夫:1, 島田 雅也:1, 斎藤 健一郎:1, 天谷 奨:1, 高嶋 吉浩:1, 宗本 義則:1
1:福井県済生会病院 外科

【目的】血液透析患者は易感染性,組織脆弱性,凝固異常,栄養障害などを有し,外科手術は様々な危険性を伴うと考えられる.今回,血液透析患者の膵癌手術症例の術後合併症,予後などについて検討した.【対象】2000年以降に当院で経験した血液透析中の膵癌患者3例.【結果】(症例1)58歳,男性.糖尿病性腎症にて透析導入後1年7ヶ月.肥満(BMI 25.9),慢性C型肝炎,胆嚢炎手術の既往あり.術前HbA1c 5.8%.膵尾部癌に対して手術:膵体尾部切除,脾臓合併切除,D2廓清施行.手術時間6時間41分.出血量2,625g.術中輸血施行(RBC4E).pT3N0M0stageⅡA,R0(規約第7版).術後膵瘻(ISGPF Grade B)および左横隔膜下膿瘍を合併.術後第35病日ドレーン抜去.術後第37病日退院.術後3年5ヶ月,無再発生存中.(症例2)80歳,女性.腎不全(原因不明)にて透析導入後9年.高血圧,子宮全摘の既往.膵体尾部癌(IPMC)に対して手術:膵体尾部切除,脾臓合併切除,D2廓清施行.手術時間2時間32分.出血量51g.術中輸血なし.pTisN0M0stage0 ,R0(規約第7版).術後膵瘻なし.術後第8病日ドレーン抜去,第18病日退院.術後1年,無再発生存中.(症例3)81歳,男性.糖尿病性腎症にて透析導入後2年7ヶ月.術前HbA1c 6.4%.高血圧の既往.膵頭部癌に対して手術:亜全胃温存膵頭十二指腸切除,門脈合併切除再建,D2廓清施行.手術時間8時間55分.出血量3,100g.術中輸血施行(RBC12E, FFP14E).pT3N0M0stageⅡA,R0(規約第7版).術中大量出血にて術後よりCHDF開始.術後第3病日にCHDF離脱し維持透析に移行.膵瘻なし.第6病日にドレーン抜去.第9病日にDVTを併発しIVC filterを留置.術後第50病日に退院も術後3ヶ月で腹膜播腫再発をきたし,術後7ヶ月で現病死.【考察】膵癌手術では閉塞性膵炎の影響や血管浸潤等により出血の危険を伴う.血液透析患者における膵切除ではさらに動脈硬化,組織の脆弱性などにより大量出血の危険を伴う.術後は膵瘻や腹腔内膿瘍の合併,さらには出血や血栓形成にも細心の注意を要する.術前から腎臓内科,麻酔科などと緊密に連携を保ちながら周術期管理を行う必要がある.
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