演題

PK10-6

膵頭十二指腸切除術後の脂肪肝発生は膵胃吻合陥入法で増加するか?

[演者] 森村 玲:1
[著者] 生駒 久視:1, 庄田 勝俊:1, 有田 智洋:1, 小菅 敏幸:1, 小西 博貴:1, 藤原 斉:1, 岡本 和真:1, 落合 登志哉:2, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学医学部 消化器外科学, 2:京都府立医科大学附属北部医療センター 外科

【目的】膵頭十二指腸切除(PD)後に8%-37%の症例にNAFLD(nonalcoholic fatty liver disease)が生じると報告されている.膵外分泌機能障害による低栄養や下痢によるbacterial translocationなどの炎症が要因と考えられている.また,嵌入法は主膵管閉塞による術後長期的な膵外分泌機能障害をきたすという報告もある.今回当院で施行した膵頭十二指腸切除症例で嵌入法による膵胃吻合を施行した症例のNAFLD発生率,またNAFLD発症におよぼす因子を検討した.【方法】対象は2010年1月~2016年12月までに膵胃吻合嵌入法を行ったPD102例中,術前にNAFLDを認めず,半年以上経過観察を行えた97例を対象とし,NAFLDの発生状況とその成因について検討した.年齢,性別,BMI,疾患,術後合併症,術後膵酵素剤使用の有無,術前血液検査を因子としてNAFLDの成因を検討した.NAFLDの判定は,術前,術後に施行したCT 検査でplain写真のCT値と脾臓値との比が0.9未満とした.肝臓のCT値は3か所の平均値を,脾臓のCT 値は2か所の平均値を用いた.【結果】平均年齢は67.2歳.男性が56人,女性が41人であった.膵癌は28例,非膵癌69例.術後早期に膵酵素補充薬を投与したのは37人であった.術後にNAFLDを発症した症例は24症例(24.7%).発症までの期間(中央値)は285日であった.PD術後のNAFLD発生に関係する因子は多変量解析で膵癌(HR=3.02 ,p=0.02)のみであった.【結論】当院で施行している嵌入法による膵胃吻合術後のNAFLD発症率は,今まで報告されているものと同程度であった.膵癌症例では術後栄養状態の低下をきたしNAFLDの発生が有意に多いと考えられた.
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