演題

食道癌根治切除における回結腸再建術の有用性と成績

[演者] 上野 正紀:1
[著者] 春田 周宇介:1, 田中 毅:1, 本田 文:1, 大倉 遊:1, 小林 直:1, 的場 周一郎:1, 黒柳 洋弥:1, 橋本 雅司:1, 宇田川 晴司:1
1:虎の門病院 消化器外科

【背景】食道癌根治術後の再建には胃を用いることが多い.胃癌の重複,胃切除の既往があるとき当科では回結腸再建を1st choiceとしている.2007以降,機能温存手術として胃を温存し回結腸再建することで逆流防止や体重維持など術後QOL向上を目指している.【目的】回結腸再建術,胃温存回結腸再建術の術式と成績につき報告する.【対象と方法】1990~2016.12月,右開胸もしくは右胸腔鏡下アプローチで2/3領域リンパ節郭清伴う食道癌根治術を行い,再建に結腸を用いた症例が217例.当初は血管走行から使用結腸を選択した.1997年までは結腸再建55例中,回結腸26例,他29例であった.縫合不全が少ないなどの理由で1998年からは回結腸を第一選択とした.回結腸再建例は縫合不全が少なく,術後QOLもよいことから,2007年から2016.12月まで回結腸再建を133例に行った.胃術後の症例が30例,胃温存回結腸再建を102例であった.胃温存回結腸再建例から,回結腸再建の有用性と治療成績を検証した.手術時間,腹部操作時間,出血量,経口摂取開始,在院期間,合併症として縫合不全,肺炎,術後イレウス,体重変化,下痢,逆流の有無,誤嚥性肺炎の有無を検討した.【結果】胃温存回結腸再建を行った102例は,平均年齢60.5歳(39-77歳),前治療なしor ESD/あり=59/ 43,2/3領域郭清=34/68,再建経路は胸壁前/胸骨後/後縦隔=1/93/8,血管吻合を1例に作成.吻合は全例頸部手縫い端側吻合を行い,縫合不全1例(1%),当日抜管100例,食事開始11日(8-19日),術後在院日数23日(14-34日),再挿管を要する肺炎1例,麻痺性イレウス4例,胆嚢炎1例,術後体重減少率は術後1年を観察ポイントにして平均9%.再入院を要するイレウスを3例中,1例は手術を要した.95例に術後内視鏡を行っておりバルーン拡張を要する狭窄,逆流性食道炎はない.胃酸逆流による結腸胃吻合部潰瘍を4例に認めPPIにて改善した.術後の下痢を32%にみとめた.【考察】回結腸再建により,吻合部狭窄の低下と消化液逆流の減少が確認された.胃温存回結腸再建は長期的なQOLの維持・向上と,逆流がないことから晩期合併症の低減が達成される.食道癌に対する再建手術として,回結腸再建術は有望な選択である.
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