演題

PK10-4

膵癌における上腸間膜動脈神経叢郭清が術後栄養状態に与える影響

[演者] 北見 智恵:1
[著者] 河内 保之:1, 西村 淳:1, 牧野 成人:1, 川原 聖佳子:1, 新国 恵也:1
1:長岡中央綜合病院 外科

【はじめに】上腸間膜動脈(SMA)神経叢郭清が術後難治性下痢や栄養障害を悪化させるとされている.今回膵癌における膵頭十二指腸切除(PD)においてSMA神経叢郭清が術後の下痢,栄養状態に与える影響を検討した.【対象と方法】2010年1月から2016年8月にPDを施行し術後3ヶ月以上の経過観察が可能であった膵癌69例.SMA神経叢郭清は術前CTでSMA周囲に軟部影を認める症例は軟部影の進展度により半周または全周郭清を行った.栄養状態の評価は体重減少率,総タンパク,アルブミン値,Prognostic nutritional index(PNI)=10×血中アルブミン値(g/dl)+0.005×末梢血リンパ球数(mm3)を用いた.脂肪肝の診断は肝/脾CT値比率が0.9未満とした.術後評価は術後3~4か月に測定された結果を用いた.高力価膵消化酵素補充材は2012年1月より導入した.【結果】神経温存群33例,郭清群36例(半周30例,全周6例)で,郭清群で下痢の発生が有意に高率であった(30.3%(n=10)/55.5%(n=20), p=0.035).郭清群で脂肪肝が高率であったが有意差は認めなかった(p=0.09).体重減少率(%)(11.8±16.8, 18.9±21.8,p=0.001),術後総蛋白(g/dl)(6.6±0.5, 6.2±0.5p=0.01),アルブミン(g/dl)(3.8±3.3, 3.6±0.4, p=0.003),PNI(46.3±4.8, 42.0±8.0, p=0.008),いずれも郭清群で有意に低値であった.術前化学療法,術後補助療法はそれぞれ33.3%/52.7%, 90.9%/ 97.2%に施行された.郭清群の1例で難治性下痢により補助療法が施行できなかった.病理組織学的進行度(UICC)はstageIIB以上が郭清群88.9%,温存群63.6%であったが有意差は認めず(p=0.08),生存期間の中央値は870日,635日で両群間に有意差はなかった(p=0.08).R0切除率は95.6%で郭清群に組織学的遺残(R1)3例(dpm1例,pcm2例)認めた.【考察】SMA神経叢郭清は術後下痢を高率に生じ,栄養状態も不良であった.補助化学療法施行率,R0切除率は比較的満足の得られる結果であったが,郭清度と根治度のバランスが今後の課題である.
詳細検索