演題

PK10-3

膵頭十二指腸切除術後の胃空腸吻合部近傍潰瘍に関する検討

[演者] 唐澤 幸彦:1
[著者] 得丸 重夫:1, 吉村 昌記:1, 阿藤 一志:1, 北原 弘恵:1, 森川 明男:1, 織井 崇:1
1:昭和伊南総合病院 外科

膵頭十二指腸切除術後の吻合部近傍に生じる潰瘍は頻度は少ないものの出血や穿孔を生じQOL低下の一因となり得る.当科で経験した症例について検討を行った.【対象】2007年11月~2015年10月までに行った膵頭十二指腸切除のうち急性期他病死例,胃全摘併施例を除く53例を対象とした.疾患は膵癌23例,胆管癌15例,乳頭部癌5例,膵管内乳頭粘液性腺腫4例,その他6例.術式は幽門輪温存膵頭十二指腸切除(PpPD)26例,膵頭十二指腸切除(PD)20例,亜全胃温存膵頭十二指腸切除6例,肝膵同時切除(HPD)1例.再建術式はIIAでBraun吻合追加27例,同なし24例,Roux-en-Y2例であった.膵空腸吻合は完全膵外瘻の1例をのぞき粘膜吻合で行いno stent36例,不完全外瘻16例であった.術後の制酸剤内服はH2-blocker21例,PPI19例,いずれも使用しなかったもの13例であった.【結果】6例に吻合部近傍潰瘍を生じ,局在は空腸側5例,胃側1例であった.術式別ではPD3例,SSPPD2例,PpPD1例でBraun吻合付き5例,Roux-en-Y1例(完全膵外瘻)であった.制酸剤は使用なし3例(いずれもBraun吻合付き),H2-blocker使用3例であった.2例に潰瘍の既往を認めた.全例PPI使用で軽快した.<症例1>膵頭部癌でPpPD(Braun+).1年9か月後残膵異時性癌に対し膵尾部・脾切除.術後9日から腹痛,下血.多発空腸潰瘍.H2blocker(+).<症例2>十二指腸癌でSSPPD(Braun+).術後2年のEGDで空腸に多発潰瘍.H2blocker(+).<症例3>膵頭部癌でPD(Braun+).術後2年9か月,再発緩和療法中に腹痛.空腸多発潰瘍.制酸剤(-).<症例4>乳頭部癌でPD(Braun+).潰瘍既往(+).術後1ヶ月,貧血精査で空腸多発潰瘍.制酸剤(-).<症例5>膵頭部癌でSSPPD(Braun+).術後1年11か月,再発化学療法中に倦怠感精査で空腸多発潰瘍.制酸剤(-).<症例6>下部胆管癌でPD(Roux-en-Y,完全外瘻).胃潰瘍で広範囲胃切除既往.術後1週間で吐血.多発胃空腸潰瘍.H2blocker(+).【まとめ】術後の吻合部近傍潰瘍はBraun吻合をおいたものに好発しており,制酸剤を使用していないものが多かった.症例が少ないもののRoux-en-Y再建の完全膵外瘻の1例でも発症しており,胆汁や膵液による胃酸の中和が潰瘍予防に重要な役割を果たしている可能性が示唆された.昨今は胃温存術式が主流となっており,これらの術式ではもとより,通常のPDにおいてもBraun吻合を付加した症例,完全膵外瘻例では特に制酸剤が必須と思われた.
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