演題

PK10-2

膵管空腸吻合部における内瘻ステントの術後動態と長期安全性の検討

[演者] 長井 和之:1
[著者] 堀江 和正:1, 牧野 健太:1, 吉村 弥緒:1, 松浦 正徒:1, 塩田 哲也:1, 姜 貴嗣:1, 伊丹 淳:1, 京極 高久:1
1:西神戸医療センター 外科

【はじめに】膵頭十二指腸切除術において,膵空腸吻合では膵管内瘻ステントがしばしば用いられるが,ステントの術後長期の動態や安全性については不明な点が多い.

【対象と方法】2008年1月から2015年11月までに当科で膵頭十二指腸切除術を行い,膵空腸吻合部に膵管内瘻ステントを使用した73例を対象とし,ステントの術後動態および関連する合併症について調査,解析した.連続変数は中央値と範囲で記載し,2群間の頻度の比較にはFisher's exact probability testを用いた.

【結果】術後経過観察期間は22.2か月 (2.6 - 106.3か月) であった.ステントは28例 (38.4%) で自然に体外排出されていた.体外排出までの期間は10.6か月 (1.5 - 72.8か月) であった.ステントの膵管空腸吻合部での遺残は26例 (35.6%) でみられた (観察期間: 10.5か月 [1 - 60.9か月]).ステントの吻合部遺残例のうち1例で反復性の膵炎がみられたが,生活指導と薬物療法にて新たな膵炎の発生はなくなった.一方,吻合部膵管深部へのステント迷入が9例 (12.3%) でみられたが,これらの例には膵炎の合併はなかった.ステント吻合部遺残あるいは膵管深部迷入例とそれ以外の症例とを比較し,膵炎の発症頻度には差はみられなかった (p = 0.48).また胆管内へのステント迷入は10例 (13.7%) で認め,胆管炎の合併が2例,うち1例では肝膿瘍の併発がみられた.ステント迷入が胆管炎や肝膿瘍発症の誘因になっている可能性を考慮し,2例とも小腸内視鏡下にステントを抜去し,その後の経過は良好であった.ステントの胆管内迷入例と他の症例とを比較し,胆管炎や肝膿瘍の発生頻度には有意差はみられなかった (p = 0.66).

【結語】膵空腸吻合部の膵管内瘻ステントは,術後にしばしば吻合部に遺残する.また吻合部膵管内の深部や胆管内に迷入することは稀ではないが,ステントの遺残や迷入と合併症発生との間には関連はみられなかった.一方,ステントが合併症発症の誘因となっている可能性が否定できない際には,内視鏡的ステント抜去も考慮される.
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