演題

PK10-1

膵頭十二指腸切除術25年目に膵胃吻合部のロストステントが核となり膵石症を発症した1手術例

[演者] 川口 晃平:1
[著者] 松本 逸平:1, 松本 正孝:1, 村瀬 貴昭:1, 亀井 敬子:1, 里井 俊平:1, 中居 卓也:1, 竹山 宜典:1
1:近畿大学附属病院 外科(肝胆膵外科)

症例は68歳男性.約25年前に膵癌疑いのため他院にて膵頭十二指腸切除術,膵胃吻合再建を施行された.病理検査結果は腫瘤形成性膵炎であった.術後糖尿病を発症し近医で血糖コントロールされていた.心窩部痛が出現し,腹部CTを撮影したところ主膵管内に膵石を認め,尾側膵管は拡張し膵実質は菲薄化していた.残膵慢性膵炎の急性増悪と診断され,治療のため当院へ紹介された.
上部消化管内視鏡検査では萎縮性胃炎および前庭部の後壁に吻合部の潰瘍瘢痕を認めた.EUSでは主膵管内にステントを認め膵実質内へ迷入しており,周囲には膵石が多数付着していた.主膵管に拡張があり膵実質は菲薄化していた.ステントの迷入が膵石症の原因と考えられた.ソナゾイド造影を施行し腫瘍性病変は認めないことを確認した.MRCPでは主膵管の拡張を認めたが,悪性病変を疑う所見は認めなかった.内視鏡的アプローチによる膵石の除去は困難と判断し,手術の方針とした.
膵胃吻合部は癒着高度であったが,残膵前面を丁寧に剥離した.主膵管を長軸方向に切開し,膵管ステントと膵石を摘出した.空腸をRoux-en-Yで挙上し,膵管空腸側々吻合を行った.術後経過は良好で,Clavien-Dindo分類Ⅱ以上の合併症を認めず,術後11日目に退院した.術後3ヶ月現在,膵炎の再燃は認めていない.
膵胃吻合部のロストステントが核となり膵石症を発症した稀な1手術例を経験した.膵頭十二指腸切除術後の慢性膵炎に対して外科的治療を要することは稀である.当院では膵胃吻合部狭窄による残膵の慢性膵炎10例に対し,積極的に膵管空腸側々吻合術を施行し,良好な成績を得ている.本例も短期成績は良好であり,文献的考察を加え報告する.
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