演題

PJ12-6

膵体尾部切除術後の膵液瘻管理についての考察

[演者] 山下 晃平:1
[著者] 野元 大地:1, 森田 圭介:1, 山本 謙一郎:1, 池嶋 聡:1, 倉本 正文:1, 島田 信也:1, 馬場 秀夫:2
1:熊本総合病院 外科, 2:熊本大学大学院 消化器外科学

【背景・目的】膵体尾部切除術後の膵液瘻の発生率は高く,腹腔内膿瘍,腹腔内出血などの重篤な合併症予防のためには適切な膵液瘻管理が必要となる.膵液瘻管理の基本は最適なドレナージと瘻孔化であるが,その評価方法についての報告は少ない.今回我々は術後CTでの評価を試みた.【方法】2012年4月から2016年8月までに当院にて膵体尾部切除術を施行した症例(脾臓以外の他臓器合併切除を伴わない症例)のうち,膵液瘻を認めた13例を検討対象とした.当院では,術後1週間以内に全例follow up CTを施行しており,その中で膵切離断端にfluid collectionを認めるものをPOFC(postoperative fluid collection)と定義し,POFC群と非POFC群の2群に分けた.さらに,POFC群でドレーンがfluid collection内にあるものをDIFC(Drain in fluid collection)と定義し,それぞれの臨床経過を調査した.【結果】POFC群は9例(膵液瘻gradeの内訳はgrade A 2例 grade B 5例 grade C 2例)であり,非POFC群は4例(膵液瘻gradeの内訳はgrade A 1例 grade B 3例)であった.POFC群でのDIFCは3例で,残りの6例は膵断端部のpseudo cyst類似のlow density areaの近傍にドレーンが位置していた.その中の2例は入れ替えを行わずドレーンを抜去され(いずれも抜去直前のドレーン性状は漿液性,排液量は500g/day未満,ドレーンAmyは500未満であった),再穿刺などの追加の治療は不要であった.4例は瘻孔造影にてDIFCに移行できず,かつ複数回のドレーンの入れ替えを要した.1例は瘻孔造影にてDIFCに移行したものの,元々のLDA内にGDAが含まれており,GDA ruptureによる腹腔内出血をきたし血管内治療による止血術を要した.POFC群の5例でfluid collectionがドレーン抜去後もpseudo cystとして残存したが,follow up CTで全例が縮小傾向を示し,追加治療は必要としなかった.【考察・結語】非POFC症例あるいはPOFC症例でもDIFCを示す症例はドレナージ良好と判断される一方で,POFC症例でDIFCでない症例のドレーン管理は悩ましい.今回の検討で術後瘻孔造影時にDIFCに移行させることが困難であることが示唆されたが,DIFCでなくともドレーン入れ替えを要さずかつ追加治療が不要な群が存在することが判明した.また,POFCの中でpseudo cystとして残存するものがあるが,自然経過で縮小することが示唆された.さらなる症例の蓄積にて,これらの臨床病理学的因子が解明されることが望ましい.
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