演題

PJ12-5

膵体尾部切除術における自動縫合機を用いた膵切離の工夫

[演者] 兼田 裕司:1
[著者] 野田 弘志:1, 遠藤 裕平:1, 渡部 文昭:1, 加藤 高晴:1, 齊藤 正昭:1, 辻仲 眞康:1, 宮倉 安幸:1, 清崎 浩一:1, 力山 敏樹:1
1:自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科

【緒言】膵体尾部切除術(DP)後の術後膵液瘻(POPF)予防を目的とした膵切離手技が各施設で試みられているが,未だに確立された方法が無いのが現状である.当科では2016年1月からPowered ECHELEN(black cartridge)による膵切離を導入し,良好な成績が得られているのでその手術手技を紹介する.
【方法】①胃十二指腸動脈,総肝動脈を確認後,必要に応じてNo.8 LNを郭清し,膵上縁の視野を確保する.②脾動脈根部周囲を剥離した後に脾動脈をclampする.③上腸間膜静脈,門脈前面で膵をtunnelingした後に膵をtapingし,自動縫合器を挿入する.④膵実質を厚さに応じて5-8分かけて圧挫する.⑤自動縫合器(60 mm)のstapleを30秒間隔で2 mmずつ進める(計15分).⑥自動縫合器先端までstapleが進んだ状態でholdし,3分後にreleaseして膵切離を行う.⑦膵切離断端の止血操作を行う.
【結果】2016年1月から11月までに7例のDP症例(開腹下3例,腹腔鏡下4例)に対して上記方法で膵切離を施行した.膵組織の厚さの中央値は9.9 mm(6.8-19.6 mm),主膵管径の中央値は2.2 mm(1.0-5.1 mm)であった.また,術後第1病日,術後第3病日のドレーン排液アミラーゼ値の中央値はそれぞれ2128 IU/l(296-5246 IU/l),179 IU/l(38-1728 IU/l)で,ISGPF分類Grade AのPOPFを3例認めたが,臨床的に有意なGrade B,CのPOPFは発生しなかった.
【考察・結論】本法では,十分に時間をかけて膵組織を圧挫し,少しずつstapleを進めることにより次のstapling予定の膵組織が時間を掛けて圧挫されるため,staplingによる膵組織損傷を最小限に抑えることができると思われる.また,stapling後もすぐに膵切離を行わず膵組織を圧挫し続けることにより,膵組織の弾性力による組織損傷を最小限に抑えることができると考えられる.本法により膵体尾部切除術における膵切離手技が定型化され,かつ,POPFを減少させる可能性が示唆された.
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