演題

PJ12-3

自動縫合器を用いた尾側膵切除における膵実質の厚みと術後膵液瘻に関する検討

[演者] 太田 徹哉:1
[著者] 久保 孝文:1, 照田 翔馬:1, 津高 慎平:1, 高橋 達也:1, 池谷 七海:1, 柿下 大一:1, 森 秀暁:1, 瀬下 賢:1, 國末 浩範:1
1:岡山医療センター 外科

自動縫合器を使用した尾側膵切除(DP)における膵液瘻(PF)の発生因子の一つと考えられる切離部膵実質の厚みとの関連を検討したので報告する.2006年より自動縫合器を使用したDP:50例を検討した.腹腔動脈合併切除を併置:3例,横行結腸合併切除:3例,腹腔鏡補助あるいは腹腔鏡下手術:11例,脾温存症例:3例にて,手術関連死亡を認めなかった.自動縫合器による切離法としては,腸鉗子にて膵実質を30分程度ゆっくり均等に圧挫し,10分程度の時間をかけて少しずつステープリングし,追加縫合を行っていない.ISGPF基準をもとにしたPF内訳(なし/Grade A/B/C)は, 29/13/5/3で,臨床的に重要なGrade B/CのPF発生率(Clinically Relevant Pancreatic Fistula: CRPF)は16%だった.自動縫合器の種類によってPFの頻度に有意差は認められなかった.PFが少ないとされる,膵の厚み12mm未満群は16例(10.4±0.78mm),PFなし14例(87.5%),Grade A 2例(12.5%)にて,良好な成績が得られた.当科の症例においてPFが増加する膵の厚みは15mmがカットオフ値と思われ,15mm未満の症例(A群:35例,12.1±1.81mm)と15mm以上の症例(B群:15例,平均16.8±2.36mm)に分けて比較検討してみると,PFの内訳とCRPFはA群:29/5/0/1, 2.9%,B群:0/8/5/2, 46.7%で,B群において有意にPFが増加していた.手術時間と出血量に関しては,A群とB群に差はなく,術後3日目のドレーン排液中アミラーゼ値は,A群:1204±2695 IU/lとB群:10394±13196 IU/lとB群で有意に高値だった.B群の対象疾患は,膵体部癌:6例(内,DP-CAR:1例),横行結腸浸潤を認める膵尾部癌1例,IgG4関連膵炎:2例,慢性膵炎による膵嚢胞1例,膵尾部NET:1例,膵体部IPMN/IPMCA 2例にて,原因疾患の影響によって切離部での膵実質が比較的厚く,弾性硬である傾向が認められた.経口摂取開始時期は,A群:4.6±1.3日,B群:6.2±2.3日であり,PFの頻度に応じて延長していた.PFの比較的少ないA群において,膵断端部に遅発性の膵仮性嚢胞を生じた症例が3例認められ,術後の経口摂取開始時期や栄養療法も検討すべき課題と考えられた.
【結語】(1)膵実質の厚みが少ない症例に対しては,尾側膵切除における膵切離・断端閉鎖を自動縫合器にて一括して行う方法は,術後の膵液瘻予防に有用である.(2)膵実質が厚く硬い場合には,断端と腸管を吻合するなど,別の閉鎖法を選択することも検討すべきと思われた.
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