演題

食道切除後胃管再建時の胃管Roux-en-Y再建術

[演者] 杉村 啓二郎:1
[著者] 宮田 博志:1, 柳本 喜智:1, 文 正浩:1, 大森 健:1, 小林 省吾:1, 高橋 秀典:1, 安井 昌義:1, 大植 雅之:1, 矢野 雅彦:1
1:大阪府立成人病センター 消化器外科

(背景・目的)
胸部食道癌に対して,食道亜全摘・胃管再建を施行した症例では,術後長期にわたり,口腔内への消化液や食物の逆流と胃排泄遅延が生じやすく,これらは誤嚥性肺炎や低栄養の原因になる.我々は,逆流とうっ滞を軽減するために,十二指腸の離断と大口径の胃空腸吻合の作成し,Roux-en-Y再建付加を行っており,その実際の手技と成績を報告する.
(対象・方法)
胸部食道癌に対し右開胸開腹下に食道亜全摘,3領域郭清,胸骨後胃管再建をした症例を対象とした.Roux-en Y再建付加は,通常の胃管作成の手技に加え,幽門輪より1cm肛門側十二指腸で離断し,トライツより20cmの空腸で切離し,胃管幽門前庭部後壁と挙上空腸を29mmのcircular staplerで吻合した.Roux-en Y再建付加群(RY群)13例と同時期の通常の胃管再建を施行した(non-RY群)19例をレトロスペクティブに比較し,術後の短期・長期成績を比較検討した.
(結果)
RY群は手術時間が有意に延長していたが(561分vs509分,p=0.016),術中出血量には差はなかった(888mlvs921ml,p=0.750).術後の縫合不全は両群で認めず,その他の合併症の発生頻度にも差を認めなかった.RY群は,nonRY群に比べて術後3日目の胃管内膵AMYおよびT.Bil が低値の傾向であり(4750 vs 21296,p=0.053) (1.4 vs 14.0,p=0.200),十二指腸液の胃管内への逆流が少ないと傾向であった.術後1年経過時の体重変化は両群で差を認めず(-11.4%vs-9.3%,p=0.63),栄養指標のAlb値も両群間で差は認めなかった(4.0vs4.1,p=0.63).術後1年以上経過後のQOL評価(DAUGS-32)では,RY群において逆流症状,食直後通過障害に関するスコアが有意に良好であった(p=0.003,p=0.006).
(結語)
胃管Roux-en-Y再建は食道癌術後の逆流防止と胃管うっ滞の改善に有用である可能性が示唆された.現在,胃管Roux-en-Y再建と通常の胃管再建の前向きランダム化比較試験を行っている.
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