演題

PJ11-6

膵頭十二指腸切除術後の膵液瘻に対する術前危険因子の検討

[演者] 山田 健介:1
[著者] 坂本 和彦:1, 徳光 幸生:1, 徳久 善弘:1, 鈴木 伸明:1, 武田 茂:1, 吉野 茂文:2, 硲 彰一:3, 上野 富雄:1, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 先端分子応用医科学講座(消化器・腫瘍外科学), 2:山口大学附属病院 腫瘍センター, 3:山口大学医学部 先端がん治療開発学

【はじめに】膵頭十二指腸切除術(以下PD,幽門輪温存もしくは亜全胃温存を含む)後の膵液瘻の管理は最も重要である.その予測にはsoft pancreasやドレーン排液中のアミラーゼ濃度が重要であるが,術前に予測することは困難である.今回われわれは,当科におけるPD術後の膵液瘻に対する術前危険因子について検討した.【方法】2010年1月から2016年10月までに当科でPDを施行した105例を対象とした.術前の各種臨床因子の他,膵管径,膵前後径,内臓脂肪,BMIとGrade B,Cの膵液瘻との関連を検討した.内臓脂肪に関しては術前CTにおいて臍レベルの内臓脂肪面積を測定し,内臓脂肪面積が100 cm2以上を高内臓脂肪と定義した.膵管径および膵前後径に関しては,術前CTにおいて上腸間膜静脈と脾静脈の合流部のレベルで,上腸間膜静脈左縁における各々の径を測定した.連続変数はROC曲線を用いて至適カットオフ値を決定した.【結果】疾患の内訳は,膵癌が45例(42.9%),胆道癌が31例(29.5%),その他が29例(27.6%)であった.BMIの中央値は22.3(15.4-32.4),高内臓脂肪は40例(38.1%)であった.Grade B,Cの膵液瘻は31例(29.5%)であった.単変量解析では,膵管径,膵管径/膵前後径,高内臓脂肪,高BMI,男性,総リンパ球数1500/μL以上,年齢が有意な危険因子であった.全因子を多変量解析で検討したところ,膵管径/膵前後径0.3未満(Odds比 5.91,95%信頼区間 1.53-22.72,P<0.01)および高内臓脂肪(3.96,1.06-14.86,P<0.05)が独立した危険因子であった.【結語】術前の因子のうち,膵管径/膵前後径低値および高内臓脂肪がPD術後の膵液瘻と関連していた.このことより,BMIのみでは評価できない肥満がPD術後の膵液瘻に影響していることが示唆された.したがって,悪性疾患の場合には時間的な制約があるものの,術後膵液瘻という観点より,術前の減量などの栄養管理について,あらためて検討する必要があると考える.
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