演題

PJ11-4

ドレーン排液の肉眼的性状で診断した膵頭十二指腸切除後の遅発性膵液漏の検討

[演者] 山口 直哉:1
[著者] 平松 和洋:1, 柴田 佳久:1, 吉原 基:1, 青葉 太郎:1, 神谷 忠宏:1, 小池 佳勇:1, 藤田 建:1, 前田 周良:1, 加藤 岳人:1
1:豊橋市民病院 外科

【背景】膵頭十二指腸切除(PD)のドレーン管理については,早期抜去が望ましいという報告が近年散見されるが,抜去後に膵液漏(PF)が原因と思われる腹腔内膿瘍で加療が必要となる症例があることやPFのドレナージ不良により術後出血も危惧されるため,早すぎるドレーン抜去がしばしば問題となる.ドレーン抜去を適切なタイミングで行えるようPFの見逃しがないよう厳重管理する必要があるが,当院ではPF特有のドレーン排液の性状変化を重要視し,排液の肉眼的性状や色調をもって術後PFの診断をしている.ドレーン排液AMY測定は必須とはせず補助的に活用している.PFを併発した場合のドレーン排液変化は通常手術翌日から顕著に表れることが多いが,なかには数日後に初めて排液性状変化をきたす例もあり,注意しないとPFがあるにもかかわらずドレーンを抜去してしまう危険性がある.
【目的】PD術後にドレーン排液の性状からPFと診断された時期について検討し,特に遅発性PF症例(3POD以降のPFと定義)の特徴を明らかにする.
【方法】2013年10月から2016年8月の間に施行されたPD症例70例.「赤ワイン色,暗赤色,てかり」などの特徴的なドレーン性状の表現が初めて使用された日をPF診断日とし,2POD以内までのPF診断症例をEarly-PF群(E群),3POD以降の診断をLate-PF群(L群),膵液漏の診断がなされなかったものをNo-PF群(N群)とし,3群間で周術期の特徴を比較検討した.
【結果】70例のうちE群31例,L群13例,N群26例であった.年齢,性別などの背景に3群間で有意差を認めなかった.特にL群とN群に着目すると,術中因子としてSoft Pancreas例がL群84.6%,N群23.1%とL群で有意に多く,門脈直上での主膵管径はL群3.6mm,N群5.1mmと有意差を認めた.3PODのCRP値はL群16.0mg/dl,N群9.20mg/dlでありL群で有意に大きかった.またE群の同検査値は17.2mg/dlとL群と同等であった.ドレーン挿入期間中央値についてはE群46日,L群35日,N群7日であった.術後死亡例はL群で1例認めた.
【結論】ドレーン排液の肉眼的性状から診断したPFにおいて遅発性PFは44例中13例であった.主膵管が細い症例,Soft Pancreas症例,3PODのCRPが高い症例は,術直後は膵液漏が潜在化している可能性があるため術後のドレーン観察・管理に留意する必要があると考えられた.ドレーン挿入期間がE群よりL群で短かったことは,遅発性PFは程度の軽いPFを反映している可能性がある.
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