演題

PJ11-2

膵頭十二指腸切除における術中膵液産生量と膵液AMY値を用いた術後膵液漏の検討

[演者] 西山 亮:1
[著者] 隈元 雄介:1, 河又 寛:1, 田島 弘:1, 海津 貴史:1, 渡邊 昌彦:1
1:北里大学病院 外科

【背景】
膵頭十二指腸切除術における合併症の中でも膵液漏は重篤な合併症になり得る.一般的に膵液漏は膵硬度に依存するとされているが,個々の膵臓から産生される膵液には差がある可能性がある.そこで,術中の膵液産生量と膵液AMY値を測定し,術前術中の評価と術後膵液漏について検討した.
【対象・方法】
当科にて2014年3月~ 2016年11月に膵頭部切除術が施行され,術中膵液について検討し得た100例をretrospectiveに検討した.当科では膵空腸再建に柿田式 (完全ドレナージ,lost tube) を採用している.膵切離後,検体摘出までの1時間に膵管チューブを残膵へ挿入し,完全ドレナージした膵液を用いて測定した.術前の疾患や膵管拡張と術中の膵硬度の評価 (手術中の複数の外科医の判断) ,術後の膵液漏評価 (ISGPF) と術中膵液産生量と膵液AMY値の関係を検討した.
【結果】
内訳は男性:女性= 63:37,年齢69歳 (64.3-74),疾患は (膵癌:49例,胆管癌:19例, IPMN:16例, NET:6例,乳頭部癌:4例,その他6例) ,術前治療症例15例,術前減黄症例46例,主膵管拡張症例47例であった.
手術時間は522.5分 (451.8-607.8),出血量は800 ml (530-1095) であった. 膵硬度はhard pancreas: 45例,soft pancreas: 55例であった.術中膵液産生量は0.8 ml/h(0-1.6),術中膵液AMY値は36047 IU/L (0-416468), 術中膵液産生量×膵液AMY値は55.1 IU (0-490.1)であった.
術中膵液産生量×膵液AMY値は,疾患別では膵癌, 胆管癌, IPMNで 0.356 IU (0-66.2), 257.8 IU (62.9-1103.4), 91.37 IU (0-385)と有意差を認めた.膵管拡張の有無においては,拡張群0 IU (0-22.9)は非拡張群280 IU (58.4-1131.9)に対して低値であった.術中の膵硬度で比較するとはhard群で0.31 IU (0-51.6), soft群で 280 IU (19.7-1129.7)とhard群で術中膵液産生量×膵液AMY値は低値であった.術後膵液漏は,膵液漏なし: 49 例, Grade A: 36例:, Grade B: 14例, Grade C: 1例で,術中膵液産生量×膵液AMY値は,膵液漏なし: 01.72 IU (0-58.4), Grade A: 230.7 IU (2.51- 1110.9), Grade B: 460.1 IU (76.3-1260.5),Grade C: 1123.5 IUで有意差を認めた.
【結語】
術中の膵液産生量と膵液AMY値は膵液漏の予測因子となり得る.膵癌や膵管拡張症例では残膵における膵液産生量やAMY値が低値であり,これが膵液漏の低下につながっていると考えられた.また,術中にhard pancreasと判断されている症例は膵液産生量と膵液AMY値が実際に低値であった.
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