演題

PJ10-7

SMV合併切除を伴う膵頭十二指腸切除後の胆管空腸吻合部出血に対しSMVステント留置が有効であった1例

[演者] 松永 明宏:1
[著者] 池田 淳一:1, 新関 浩人:1, 山口 晃司:1, 宮谷内 健吾:1, 新田 健雄:1, 猪子 和穂:1, 中村 透:2, 阿保 大介:3, 作原 祐介:3
1:北見赤十字病院 外科, 2:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅱ, 3:北海道大学大学院 放射線医学分野

症例は66歳の女性.膵頭部癌(T4N0M0)に対し,術前補助化学療法(Gemcitabine+Abraxane 2コース)後に,膵頭十二指腸切除術,上腸管膜静脈(以下SMV)合併切除再建術,Child変法再建術を施行した.病理診断は,Ph, 25mm, tub2, ypT4(PVsm, PLsma), ly0, v2, ne2, mpd(-), ypN0, PCM(-), BCM(-), DPM(-), ypStageⅣaであった.
術後は順調に経過していたが,術後10か月目に貧血進行と黒色便を認め,精査の結果,胆管空腸吻合部からの出血と診断された.内視鏡下にクリッピングを行い止血が得られたが,その後も頻回に再出血を繰り返すようになり,内視鏡的止血処置と輸血を繰り返した.造影CT,および血管造影検査では,再建したSMVの高度狭窄と側副血行路の発達を認め,胆管空腸吻合部付近に拡張した側副血行路が認められた.
これが胆管空腸吻合部出血の原因であると診断し,術後15か月目に経皮径肝SMVステント留置術を施行した.ステント挿入前のSMVからの造影では,直上に合流する空腸静脈が遠肝性に造影され,肝門部に静脈瘤を形成し,そこから門脈に注いでいた.SMVに8mm径17mm長 balloon expandable stentを留置した.留置後,求肝性門脈血流が増加し,遠肝路描出は大幅に減弱した.SMV圧は24.5cmH2Oから11.5cmH2Oに減少した.
その後は,貧血進行や下血を認めず,造影CTでは側副血行路の消失が認められた.術後2年現在,無再発生存中である.
膵頭十二指腸切除後の良性SMV閉塞に対しステント留置術は有効な治療法であると考えられた.以上,若干の文献的考察を加えて報告する.
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