演題

頸部食道胃管吻合における三辺外翻三角吻合と有茎大網被覆の成績と縫合不全のリスク因子の解析

[演者] 渡邊 雅之:1
[著者] 黒河内 喬範:1, 山下 公太郎:1, 速水 克:1, 岡村 明彦:1, 今村 裕:1, 峯 真司:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景】食道切除後の胃管再建術ではいまだ縫合不全や吻合部狭窄が高頻度に認められる.われわれは三辺を外翻とする三角吻合と有茎大網弁による吻合部被覆を標準としている.本術式の手技を供覧しその成績を明らかにするとともに,縫合不全の危険因子の解析を行った.【対象および方法】手術手技:胃管作成の際に大網を可及的に胃につけて剥離し右胃大網動静脈領域で有茎大網弁を作成.胸骨後経路の頸部吻合を第一選択としている.胃管は大弯側細径胃管とし頸部食道と端々吻合する.吻合部の両端に支持糸をかけて翻転し後壁をリニアステープラーで縫合.翻転を解除し前壁2編をリニアステープラーで縫合.吻合部を全周に大網で被覆する.成績:2013年8月から2016年6月の210例を対象.縫合不全と吻合部狭窄の頻度を解析.吻合部狭窄は内視鏡下の拡張を要したものと定義した.縫合不全の危険因子の解析:患者因子(年齢,性別,占拠部位,進行度,BMI,ASA,術前併存症),術式(鏡視下の有無,再建経路),術前治療,手術因子(出血量,手術時間),臨床検査値(初診時および術前CRP値,アルブミン値,HbA1c値),解剖学的因子(胸骨上縁space: 胸骨から椎体までの距離から気管の縦径を引いた値)と縫合不全の有無の関連を検討した.【結果】縫合不全は13例(6.2%),吻合部狭窄は7例(3.3%)であった.縫合不全発生例では初診時CRP値が有意に高値であった(0.88±1.55 vs. 0.28±0.59,P=0.0021).この差は術前治療未施行例で顕著であり (0.99±0.23 vs. 0.20±0.08,P=0.0015),術前治療施行例においては術直前のCRP値に有意な差を認めた(0.86±0.29 vs. 0.26±0.05,P=0.047).縫合不全症例では手術時間が有意に長かった(650±106 vs. 584±100,P=0.022).また,縫合不全発生例では術前HbA1c値が高い傾向にあり(6.1±0.2 vs. 5.7±0.04,P=0.057),胸骨上縁spaceが狭い傾向にあった(14.6±5.8mm vs. 18.5±7.9mm,P=0.083).【結語】食道切除後の頸部食道胃管吻合再建において三編外翻三角吻合と有茎大網被覆は縫合不全と術後狭窄が少ない安全な術式と考えられた.術前CRP高値と手術時間の延長は縫合不全の危険因子であり,糖尿病の併存や胸骨上縁の縦隔スペースの狭さが縫合不全に影響する可能性が考えられた.
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