演題

PJ10-4

膵体尾部切除術後の腹腔内膿瘍に対して内視鏡下経胃ドレナージが有効であった1例

[演者] 杉本 圭司:1
[著者] 元木 祥行:1, 中野 克俊:1, 菅 和臣:1, 中口 和則:1, 土居 貞幸:1
1:市立川西病院 外科

【はじめに】膵切除術後の膵液瘻による腹腔内膿瘍は重篤な合併症であり,保存的に治療が奏功しない場合にはCT/エコー下の経皮的ドレナージをまず第一に検討しなければならない.安全な穿刺ルートがない場合には手術も考慮しなければならないが,今回我々は膵体尾部切除術後の膵液瘻が起因したと考えられる腹腔内膿瘍に対して超音波内視鏡下ドレナージにより軽快した1例を経験したので報告する.
【症例】45才男性.心窩部痛精査の結果,膵尾部嚢胞性腫瘤を指摘された.家族歴に膵癌患者がいるため本人の強い希望により膵体尾部+脾切除術を施行した.病理組織学的検査結果はLymphoepithelial cyst with granuloma であった.術後ドレーンアミラーゼ値は第1日目が1442IU/l, 第3日目が11334IU/l, 第7日目が1559IU/lであった.術後8日目に左横隔膜下ドレーンを抜去し,術後15日目に膵断端部ドレーンを抜去した.ISGPFのGrade Bと診断し抗生剤投与により軽快した.術後18日目CRP0.45mg/dl, 白血球5620と正常値となり外泊許可としたが,同日夜間に腹痛と発熱のため帰院した.CTでは膵切除部に膿瘍を形成しており,抗生剤投与を開始した.経皮的にドレナージを検討したが穿刺不可能なため,胃背側の膿瘍に対して超音波内視鏡下にドレナージを行った.ドレナージ後再び増悪し膵管造影検査を行うと主膵管より造影剤の逸脱が見られ,膵管ステントチューブを十二指腸乳頭より挿入した.膿瘍腔内に計4本のドレナージチューブを挿入し洗浄を行い次第に炎症所見は軽快した.膿の細菌培養検査では当初はMRSEであったが,Staphylococcus species, Candida glabrata, Pseudomonous aeruginosa など変化する細菌に対しての多種の抗生剤投与を行う必要性があった.
【結語】腹腔内膿瘍に対する経胃的ドレナージは低侵襲な治療方法の一つである.今後も有効な一手段として治療の選択肢となりうると考えられ文献的考察とともに報告する.
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