演題

PJ10-3

膵胃吻合再建後膵瘻に続発する重篤な合併症の病態生理とその対策

[演者] 成田 匡大:1
[著者] 佐治 雅史:1, 花田 圭太:1, 松末 亮:1, 畑 啓昭:1, 山口 高史:1, 大谷 哲之:1, 猪飼 伊和夫:1
1:京都医療センター 外科

【目的】当院では2012年5月から膵頭十二指腸切除術(以下PDと略)後の膵消化管再建法に膵胃吻合(以下PGと略)を採用している.当院におけるPGの手技と成績,特有の病態生理であるPG後膵瘻の術後管理のポイントを病態生理に基づき報告する.
【方法】2012年5月から2016年12月までにPGを施行した63例を対象とした.膵瘻の定義と分類はISGPFに準じて行った.PGは胃体上部後壁から残膵を胃内に陥入し,胃前壁切開による膵実質と胃粘膜を縫合する陥入式のPGを採用している.ドレーンは閉鎖式持続吸引式をWinslow孔・膵胃吻合部頭側・尾側に3本留置している.通常の術後管理では,経鼻胃管は術後1日目に抜去,術後4日目に水分摂取・5日目に流動食摂取を開始し,6日目にはCTを撮像し,画像上ドレナージ不良ないこと・ドレーン排液の性状に異常がないことを確認後,同日すべてのドレーンを抜去する.経過中にドレーン排液が混濁した場合は膵瘻を疑い,可及的にドレーン排液を細菌培養検査に提出してドレナージを継続する.
【成績】PDを施行した63例の内訳は,膵頭部癌25例,肝外胆管癌21例,十二指腸乳頭部癌12例,その他の疾患5例であり,50例がSoft pancreasだった.Grade B/Cの膵瘻を10例 (15.9%) に認め,すべての症例がsoft pancreasであった.PGでは,1) 残膵授動後の門脈周囲領域2) 網嚢腔の2カ所がDead spaceとなるため,膵瘻後膿瘍腔形成の好発部位となる.Grade B/C膵瘻を認めた10例中,4例で膵瘻を契機に腹腔内出血をきたした.うち3例は門脈周囲領域のドレナージ不良,1例は門脈周囲および網嚢腔のドレナージ不良が原因であった.また,Grade B/C膵瘻の10例中,4例に門脈血栓症を認めた.2例はヘパリン投与にて血栓は消失したが,血液培養で口腔内常在菌が検出された2例は感染性門脈血栓症を併発し,適切な抗菌薬およびヘパリン投与でも血栓は消失せず治療に難渋した.以上の経験から,現在では1) 網嚢腔のドレナージを十分に行うこと,2) 残膵の授動を最小限にし,門脈周囲に大網を充填することによりDead spaceをなくす工夫を行っており,以降,重篤な合併症は減少している.
【結論】PD後膵瘻におけるドレナージ不良は重篤な合併症を併発する.PGでは,1) 残膵の授動により生じる門脈周囲領域2) 網嚢腔の2カ所がDead spaceとなり,膵瘻後膿瘍腔の形成の好発部位となるため,同部位に対するドレナージおよびDead spaceをなくす工夫が必要となる.
詳細検索