演題

PJ10-2

膵頭十二指腸切除における術後膵液瘻:POPF gradeA症例の検討

[演者] 久原 浩太郎:1
[著者] 塩澤 俊一:1, 碓井 健文:1, 土屋 玲:1, 河野 鉄平:1, 山口 健太郎:1, 横溝 肇:1, 島川 武:1, 勝部 隆男:1, 成高 義彦:1
1:東京女子医科大学東医療センター 外科

(目的)膵頭十二指腸切除(PD)術後にドレーンアミラーゼ値(DA値)が異常高値でも,臨床的にgrade B以上の術後膵液瘻(POPF)を発症しない例を経験する.POPFのgrade Aとgrade Bとを分ける因子を検討した.
(対象と方法)2005年~2016年に当科で膵頭部領域疾患に対しPDを施行した129例(男性82例, 女性 47例)を検討した. 年齢中央値69歳. 疾患は膵頭部癌 / 胆管癌 / 乳頭部癌 / その他:71 / 26 / 13 / 19例.PDは亜全胃温存(SSPPD)を標準術式とし,ドレーンは膵腸吻合背側に1本, 一般的なPOPFハイリスク症例(soft pancreas, 膵管径3㎜未満,ハイリスク既往症あり)では背側と腹側に各1本留置し,2本の場合DA値は高値側を採用.膵管チューブはlost stentとし,ハイリスク例では外瘻を選択した.DA値は第1.3.5病日に測定し,1)発熱なし 2)ドレーン性状 : 漿液性 3)血液生化学検査値が許容範囲内,の場合は第5病日にドレーンを抜去した.
まず正常膵群(soft pancreas:S群)50例と硬化膵群(hard pancreas:H群)79例に分けて,DA値とPOPFの関連をみた.そのうち術後第3病日の時点でgrade A以上に相当するDA高値であった75例について,臨床因子(①男性/女性 ②BMI25以上/未満 ③第5病日のWBC9000≦or<9000 ④第3→5病日でCRP値が50%以上改善なしorあり ⑤膵管径≦3mm or 3mm< ⑥膵管ステント:lost stent or外瘻)との関連を検討した.
(結果)Grade B+CはB 27例,C 3例で全症例の23.3%であった.DA値は中央値でS群は第1病日:2617 IU/L, 第3病日1448 IU/L, 第5病日667 IU/L.H群は422 IU/L ,764 IU/L ,199 IU/Lであった. 第3病日の時点でgrade A以上に相当するDA値はS群 43例(S群の86%),H群32例(40.5%)で, これに続くPOPFの最終診断は,S群でgrade A/B/C 22(44%) / 18(36%) / 3(6%)例,H群でそれぞれ23(29.1%) / 9(11.4%)/ 0例であった.S群とH群を合わせた第3病日DA高値群は,単変量解析でBMI25以上,膵管チューブlost stent, 3→5病日のCRP値改善不良,第5病日のWBC9000以上が有意に多くgrade B以上へと転帰した.多変量解析ではBMI 25以上,lost stent, CRP値改善不良が有意なリスク因子であった.
(結語)第3病日のDA値がPOPF gradeAと判定された症例は全体の58.1%であった.このうち ①BMI25以上 ②lost stent ③第3→5病日のCRP値改善不良例ではgrade B以上への転帰に対する注意が必要である.一方,膵管外瘻の選択でgrade B以上への進展を回避しえた可能性が考えられた.
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