演題

PJ10-1

膵頭十二指腸切除術の合併症予測における血漿中グレリン値の有用性

[演者] 佐々木 一樹:1
[著者] 浅岡 忠史:1, 江口 英利:1, 野田 剛広:1, 和田 浩志:1, 後藤 邦仁:1, 川本 弘一:1, 滝口 修司:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科学

【背景】
膵頭十二指腸切除術は手術関連死亡率が約3%程度あり,術後の重篤な合併症を予測することはこれを回避する上で有用と考える.当科ではこれまでに,食道癌術後や胃癌術後における血漿中グレリン値の推移と臨床的意義について,食欲増進作用の他,抗炎症作用や抗アポトーシス作用を有することを報告してきた.今回,膵頭十二指腸切除の周術期における血漿中グレリン値を測定し,術後合併症に対する予測因子としての有用性について検討した.
【対象・方法】
2015年5月から2016年4月までに当院で施行した膵頭十二指腸切除例24例を対象として,術前,術後1,3,7,14日目の血漿中グレリン値を経時的に測定した.血漿中グレリン値については術後グレリン値と術前グレリン値の比率を算出し,グレリン比率として用いた.術後合併症はClavien Dindo(CD)分類Grade3以上を対象とし,周術期における血漿中グレリン比率,IL-6値,およびCRP値の推移との関連について検討した.
【結果】
原疾患は,膵腫瘍11例(膵頭部癌7例,IPMN3例,SCN1例),胆道系腫瘍11例(遠位部8例,乳頭部3例),神経内分泌腫瘍2例であった.術式は,亜全胃温存膵頭十二指腸切除(SSPPD)24例で,再建方法は膵腸吻合16例,膵胃吻合8例であった.年齢は70.4±9.2歳,性別は男性20例,女性4例,平均BMI 22.1±2.8kg/m2で,既往歴として胃切除後が4例,術前化学放射線治療施行後が6例含まれていた.CD分類Grade3以上の術後合併症は12例(50%)に認め,内訳は,膵液瘻5例,腹腔内膿瘍4例,消化管出血2例,仮性動脈瘤2例,リンパ瘻1例であった.
術後1日目の血中IL-6とCRP値は,術後合併症の有無で有意差を認めなかったが,グレリン比率は,術後1日目で術後合併症有り群(n=12)で無し群(n=12)に比較して有意な低下を認めた(有り群/無し群:54.6±31.1%,95.0±40.4%,p=0.01).また,術後1日目のグレリン比率によるROC解析では,cut off値を82%とすると,術後合併症の予測が可能(感度83%,特異度75%,AUC:0.79)で,グレリン比率82%未満のLow群(n=13)では82%以上のHigh群(n=11)に比べ,術後合併症の頻度は高く(Low群/ High群: 76.9% / 18.2%, p<0.01),術後入院期間も有意に延長していた(Low群/ High群:53±28日 / 29±11日,p=0.01).
【まとめ】
膵頭十二指腸切除術における血漿中グレリン測定は,術後合併症予測に有用と思われた.
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