演題

PI12-7

スポ-ツ中の鈍的外傷による膵単独損傷の1緊急手術例

[演者] 石部 良平:1
[著者] 吉川 弘太:1, 土持 雅昭:1, 中薗 俊博:1, 藏元 慎也:1, 永田 祐貴:1, 隈元 亮:2
1:川内市医師会立市民病院 外科, 2:川内市医師会立市民病院 消化器内科

【はじめに】鈍的外傷による膵臓の単独損傷は比較的稀である.今回,我々は主膵管損傷を伴う単独膵損傷に対して緊急手術を施行し救命しえた症例を経験したので報告する.
【症例】24歳男性がソフトボールの競技中に同僚の肘によりみぞおちを殴打され,当科に緊急搬送された.来院時血圧118 / 77mmHg,脈拍75 /分整.腹部は膨満しており,全体的に硬く,左上腹部を中心に圧痛が強かった.採血で白血球の上昇は見られなかったが,血清アミラーゼ,リパーゼが各々1297 U / L,993 U / Lと高度の上昇を示していた.CTにて膵実質の損傷は診断できたものの,主膵管の損傷に関して不明瞭であったためERCPを施行した.十二指腸壁,および乳頭部に損傷は見られなかったが,膵管造影で膵頭部より体部移行部の主膵管より造影剤の流出を認め,末梢の膵管は造影されなかった.以上より主膵管の完全断裂を伴う膵損傷IIIb型と診断し緊急手術を施行した.上腹部正中切開で開腹し,網嚢を開放すると上腸間膜静脈前面の膵が完全に断裂していた.周囲の血管や他臓器に損傷はみられなかった.主膵管を確認し,頭側の膵断端は閉鎖し,尾側の膵断端を胃の後壁と吻合して手術は終了した.術後は若干の膵炎症状が繰り返されたが,概ね良好に経過し軽快退院となった.【考察】画像診断の進歩により,鈍的外傷による膵損傷の診断は比較的容易になったが,主膵管の損傷の有無に関しては必ずしも確定的ではない.循環動態などが安定している場合にはERCP まで施行し,主膵管の損傷状況を把握する必要がある.それにより保存的に処置し得るものか,またステント留置や開腹術などが必要なものかの判断が可能となる.手術に際しては様々な場面を想定し,損傷の程度により選択しうる種々の対処法を熟知しておくことが肝要であろう.【まとめ】膵損傷の多くは交通外傷により引き起こされるとされているが,スポ-ツの場においても脊椎と挟まれる形で十分に起こりうる.受傷時は軽微な痛みであっても,症状が長引く場合や増強する場合には,主膵管を含む膵の損傷を念頭に置いた迅速な対応が必要である.
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