演題

PI12-6

内視鏡的逆行性膵管造影により治療方針を決定した単独膵損傷の2例

[演者] 山田 修平:1
[著者] 福島 啓介:1, 今野 文博:1, 神波 力也:1, 高橋 雄大:1, 安齋 実:1, 菅原 宏文:1, 三輪 佐和:1, 高橋 梢:1, 並木 健二:1
1:大崎市民病院 外科

はじめに:単独膵損傷は比較的稀であるが,主要血管損傷や膵管損傷による膵液瘻の合併により致死的になり得る病態である.そのため迅速に治療方針を決定し,出血や膵液瘻の制御をしなければならない.今回われわれは膵管損傷を伴う膵単独損傷の2例を経験し,その治療方針決定に術前の内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)が有用であったので報告する.
症例1:68歳男性.軽トラックで走行中に前方不注意で衝突した.シートベルトは装着していたが,エアバッグの搭載がなく,腹部をハンドルで打撲した.造影CTにて膵頭部の腫脹を伴う造影不良があり,造影剤の血管外漏出を認めた.外傷性膵損傷に伴う腹腔内出血の診断となったが,治療方針の決定のためにERPを行ったところ,分枝膵管から造影剤の漏出を認めた.膵液瘻のコントロールのために内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)を行った.引き続き手術に移行したところ,膵頭部は激しく挫滅しており,噴出性の出血を認めた.縫合止血するも出血を制御できず,ガーゼパッキングによるダメージコントロール手術を行った.その後血管造影検査にて後上膵十二指腸動脈からの造影剤漏出を認め,塞栓して止血した.2回目の手術で止血確認と閉腹を行い,膵切除は行わなかった.術後ドレーンアミラーゼ値の顕著な上昇を認めたが,膵頭部前面に留置されたドレーンを連日洗浄することにより良好な経過を得た.
症例2:59歳男性.トラックに体幹部を前後方向に挟まれて受傷した.造影CTにて膵体部の造影不良と腹水を認めたが,造影剤の漏出はなかった.膵管損傷の検索のためにERPを施行したところ主膵管からの造影剤漏出を認めた.尾側の膵管は同定できず,ENPDは施行できなかった.開腹すると膵体部の広範な挫滅を認めたが,活動性の出血はなかった.一期的にLetton-Wilson手術を施行した.術後は無症候性の膵液瘻を認めたものの良好な経過を得た.
膵管損傷を伴う重症膵損傷の治療方針は様々であるが,術前に膵管損傷の有無を把握することが重要である.さらに膵管損傷があったとしてもENPDによる膵液瘻の制御ができれば,保存的加療が奏功するという報告も散見される.
今回われわれは術前ERPが治療方針決定の一助となり,良好な経過を得た単独膵損傷の2例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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