演題

PI12-4

多発腸管穿孔を起こし治療に難渋した重症急性膵炎の1例

[演者] 塚本 千佳:1
[著者] 勝守 高士:1, 山本 真一:1, 濱口 裕光:1, 岩永 知大:1, 大嶋 壽海:1
1:荒尾市民病院 外科

最近は重症急性膵炎の治療法が確立されてきており,治療に難渋する経験はあまりない.今回重症急性膵炎から胃1か所・下行結腸2か所が穿孔し,壮絶な治療経過となった症例を経験したので報告する.
症例は62歳男性.既往歴は若年性アルツハイマー型認知症・糖尿病.心窩部痛を主訴に当院受診.造影CT検査にて膵頭部に造影不領域を認め,膵外への炎症波及は右腎下極まで認め合計2点 Grade2となり,重症急性膵炎と診断,保存的療法開始.MRCPにて胆嚢結石を多数認め,胆嚢結石が膵炎の原因と判断した.入院4日目CRPが42まで上昇,入院11日目にはCRP17まで軽快,食事再開.入院24日目にCRP2まで軽快.入院31日目より食欲低下,33日目より39度発熱出現.32日目CTでは膵~傍下行結腸までたまりを認めたが,以前のCTと著変なかった.34日目CRPは24まで再上昇,入院37日目に腹腔鏡下胆嚢摘出術施行.手術所見では腹水なく,胆嚢に強い炎症はなかった.術後1週間より左側腹痛・39度台発熱・食欲不振出現,不穏症状悪化.状態改善されず術後34日目造影CT施行,膵体尾部から下行結腸周囲まで被包された便汁のたまりを認め,術後38日目背側から下行結腸周囲のたまりに穿刺ドレナージ施行.下行結腸造影され,下行結腸穿孔と診断.ドレーンを1週間毎に造影・いれかえを繰り返し,cavityが小さくなると胃も造影され,胃穿孔も併発していた.術後56日目にGCF検査にて穿孔部を確認,下行結腸に2箇所穿孔部を認め,脾弯曲にある穿孔部は5cmと巨大であった.下行結腸と交通している限り便汁の排液はとまらないと判断し,術後77日目にCF下で穿孔部にヘルニア用メッシュをあてたが,穴が大きく十分な塞にはならず.術後84日目に経肛門的イレウス管挿入し,穿孔部より口側の横行結腸でバルーンを留置.術後91日目バルーンがちょうど穿孔部にはまり,cavity縮小し食事再開.この方針で治癒できると考えたが,ご家族は予測不能な治癒までの期間に不安を覚え,術後99日目に腹腔鏡下バイパス術(横行結腸―S状結腸)施行.バイパス後4日目より食事再開,4週間後には下行結腸周囲ドレーンから排液は消失,入院165日目にドレーン抜去,171日目に退院された.
大腸穿孔を併発した場合,大腸との交通を閉鎖しない限り,治癒へは到達できないことを痛感した1例であった.大腸穿孔を併発した重症急性膵炎症例の文献検索を加え発表する.
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