演題

食道切除術後食道胃管吻合における胃管吻合部位に関するランダム化比較試験

[演者] 尾本 至:1
[著者] 内門 泰斗:1, 佐々木 健:1, 奥村 浩:1, 喜多 芳昭:1, 有上 貴明:1, 上之園 芳一:1, 大脇 哲洋:2, 前村 公成:1, 夏越 祥次:1
1:鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学, 2:鹿児島大学大学院 離島へき地医療人育成センター

【背景】食道癌手術で吻合部縫合不全の発生の低下は,術後感染症発生率低下,在院日数の短縮,患者の良好な生活の質および栄養管理維持につながり,術後経過に大きく影響する.当科では食道癌手術における食道胃管吻合法は,自動吻合器による端側吻合を標準としている.胃管先端の吻合部位については,大彎側吻合は血流が良好で縫合不全が少ないという報告がある一方,血流遮断による胃管先端部の血流低下が縫合不全の原因となるという報告もある.今回,吻合部位により縫合不全発生率を低下させることが可能であるかランダム化比較試験を行った.
【対象】2012年1月から2015年9月まで胸部食道癌根治術を施行した71例を対象とした.
【方法】胃管は,右胃動静脈,右胃大網動静脈を温存,胃管径3.5cmの大彎側細径胃管を作成.吻合時の機械の挿入を容易にし,挿入部の閉鎖を安全かつ容易に行うため,胃管先端にカフを作成し,そこから自動縫合器を挿入している.腹部操作では大網を胃管側につけ,吻合部を被覆するため大網弁を作成する.大網弁は胃管の先端と共に頸部に挙上する.胃管作成後に,2.5mg/mlに調整したICG溶液3mlを静注しPDEを用いて右胃大網動脈,胃管内血流を観察し,壁内血流良好な部位と血流不良部の境界をマーキングし安全に吻合できる部位を決定した.吻合部位は胃管大彎側吻合(大彎群)36例,と小彎側吻合(小彎群)35例に無作為に群分けした.試験開腹となった2例はいずれも小彎群で除外し,大彎群36例と小彎群33例で縫合不全発生率,吻合部狭窄症の発生率,縫合不全部位に関して検討した.
【結果】年齢:64.8歳,男:女=66:5,術前化学放射線治療は27例に施行,臨床病期 0:I:II:III:IVa=9:12:17:31:2,術式は右開胸:胸腔鏡:非開胸:=44:16:9,再建経路は胸壁前:胸骨後:後縦隔=36:9:24,糖尿病・循環器・呼吸器合併症の有無=27:44,ICG胃管血流評価施行有無= 38:31.縫合不全は,69例中9例(9%)に発生し,大彎群で7例(19%), 小彎群で2例(6%)と統計学的な有意差はなかった.狭窄の有無は,大彎群0例,小彎群2例(6%)で統計学的な有意差はなかった.縫合不全の部位は,胃管断端5例の全てが大彎群で,吻合部は4例で各群2例ずつ認めた.胃管断端縫合不全が大彎群で有意に多かった(p=0.045).
【結語】大彎群で胃管断端の縫合不全の割合が多く胃管の血流が不良の場合,小彎側での吻合が良いことがが示唆された.
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