演題

PI12-2

膵necrosectomy後の難治性膵液瘻に対し,非破裂バルーンを用いた内視鏡的ドレナージ術の有効性について

[演者] 伊藤 裕介:1
[著者] 五十嵐 佑子:1, 小濱 圭祐:1, 林 靖之:1, 大杉 直人:2, 真田 徹:2, 堀本 雅祥:2
1:大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター, 2:済生会千里病院 消化器内科

近年,感染性膵壊死に対する治療としてstep-up approach法が推奨されている.しかし,経後腹膜的なnecrosectomyでは,膵液瘻の発生が多く,その治療に難渋することがある.今回我々は,経後腹膜的necrosectomy後の難治性膵液瘻に対し,非破裂バルーンを用いて内視鏡下に胃と瘻孔を作成し,治癒した症例を2例経験したので報告する.症例1 36歳男性.重症急性膵炎後の感染性膵壊死のため,CTガイド下ドレナージの後,経後腹膜的necrosectomyを施行した.この際,膿瘍腔と胃壁とが接触しておらず,内視鏡的アプローチは困難であった.その後,International study group of postoperative pancreatic fistula(ISGPF)の定義におけるgrade Bの膵液瘻が発生.絶食・ソマトスタチンアナログの投与にても軽快しないため,内視鏡下に瘻孔腔の穿刺を試みるも胃壁と距離があり,内視鏡での瘻孔の同定が困難であった.そこで,非破裂バルーンを瘻孔部より挿入し,もっとも胃壁と近接する部位でバルーンを胃壁側に圧着.Endoscopic ultrasound(EUS)にてバルーンを確認した上で,穿刺し,膵液を胃内へ誘導する瘻孔を作成した.その後,膵液瘻は改善し,退院となった.症例2 46歳男性,症例1と同様に経後腹膜的necrosectomy後に,grade Bの難治性膵液瘻が発生.非破裂バルーンを用いて症例1と同様の手順で胃と瘻孔を形成.その後,膵液瘻は改善し,退院となった.
Bakkerらによると感染性膵壊死に対する内視鏡的necrosectomyは,手術に比較し炎症反応と合併症・死亡を有意に低下させると提唱している.その際,手術群での膵液瘻の発生は70%とされている.しかし,解剖学的に胃壁と膿瘍腔が離れている場合,内視鏡的アプローチは困難であり,経後腹膜的necrosectomyを行う必要がある.今回の経験から,経後腹膜的necrosectomy後の膵液瘻に対し,非破裂バルーンを用いた内視鏡的ドレナージ術はstep-up approach法の一つの手段となり得ると考えられた.
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