演題

PI12-1

感染性WONに対する鏡視下補助後腹膜Necrosectomyの経験

[演者] 北里 周:1
[著者] 黒木 保:1, 糸瀬 磨:1, 松村 尚美:1, 森山 正章:1, 渡海 大隆:1, 徳永 隆幸:1, 竹下 浩明:1, 谷口 堅:1, 藤岡 ひかる:1
1:長崎医療センター 外科

【はじめに】Atlanta分類2012により,急性膵炎の膵局所合併症は発症からの経過時間と壊死の有無によって4つのカテゴリーに分類された.本邦における急性膵炎診療ガイドライン2015においても同様に4カテゴリーに分類され,感染の有無により治療の適応,治療法が示されている.感染性WON(Walled-off necrosis)に対してはドレナージ,Necrosectomyが適応となるが,ドレナージによる治療効果が得られない場合にはNecrosectomyが行われる.今回,膵炎後感染性WONに対して鏡視下補助後腹膜Necrosectomyを施行した3例を経験したので,その手技と利点を供覧する.
【症例】症例1:70歳代,女性.重症急性膵炎で保存的治療32日目,肝右葉尾側にWONを認め経皮的ドレナージ施行.感染コントロール不良のため外科的Necrosectomyの適応と判断し,164日目に手術を施行した.
症例2:40歳代,男性.重症急性膵炎の診断で保存的治療40日目,左前腎傍腔に感染性WONを認め経皮的ドレナージ施行.症状改善得られず,70日目に外科的Necrosectomy施行.
症例3:80歳代,女性.肝内結石・総胆管結石に対してERCP・EST施行.その後膵炎発症し保存的治療を受けるも25日目に右前傍腎腔~右腸腰筋近傍に被包化した液体貯留を確認.炎症所見遷延し,感染性WONの診断で33日目に経皮的ドレナージを施行するも感染コントロール不良のため,74日目に外科的Necrosectomyを施行した.
【手術手技】膿瘍部位に応じて右または左側臥位とし,腰部に4~6cmの切開を加え経皮的ドレナージルートをメルクマールに後腹膜腔に到達.直視下に壊死物質を可及的に除去後,5mmトロッカーを2本留置.5mmフレキシブルスコープを挿入し,直視下では死角となる膿瘍腔深部を観察.鏡視下に壊死物質を除去後,至適位置にドレーンを留置する.
【成績】各症例の手術時間はそれぞれ73分,73分,67分で,出血量は325ml,20ml,50mlであった.症例1,2の術後在院日数は16日,27日であり,合併症なく,再膿瘍掻把やドレナージも必要なく退院または転院となった.症例3は術後2日目の現在入院中である.
【考察】感染性WONに対する治療として,従来の開腹手術からより低侵襲の治療が選択されるようになった.鏡視下補助後腹膜Necrosectomyは,経後腹膜的アプローチにより侵襲を抑え,内視鏡を併用することで直視下では死角となる膿瘍腔深部の掻把も安全に施行可能であり,膵炎後感染性WONに対して有用な術式である.
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