演題

PI11-6

膵頭十二指腸切除術時に肝動脈の破格が及ぼす影響

[演者] 伊藤 康博:1
[著者] 松田 諭:1, 三原 康紀:1, 西谷 慎:1, 小野 滋司:1, 半田 寛:1, 渋谷 慎太郎:1, 江川 智久:1
1:済生会横浜市東部病院 消化器センター消化器外科

(はじめに)
膵頭十二指腸切除術(PD)を施行するうえで膵周囲血管の走行を把握することは重要である.この際,遭遇する肝動脈の破格は約20%との報告があり,手術操作を行う上で注意を要する.一方,通常の走行と異なるがゆえに手術手技の難易度を高めたり同部への腫瘍浸潤の影響から予後への影響も推測される.
(目的)
当院で経験したPD施行例より肝動脈の破格が術中・術後に及ぼす影響について検討した.
(対象と方法)
2007年4月から2016年12月までの間に経験したPD174例について後向きに検討した.肝動脈破格群(A群)と非破格例(B群)の2群に分類した.A群全例で動脈合併切除せず温存可能であった.術中因子(手術時間,出血量,輸血),さらに術後因子(合併症,病理学的検討,再発・生存率)について両群間で比較検討した.
(結果)
術前ダイナミックCTにて肝動脈の走行を確認し,25例(14.4%)で肝動脈破格を認めた.両群間の背景因子に有意差を認めなかった.手術時間,出血量,輸血有無,術後合併症(膵液漏,胆汁漏,腹腔内出血,胃内容排泄遅延)についても両群間で有意差を認めなかった.病理学的非治癒切除(R1)もA群7例(28%),B群22例(14.8%)と有意差を認めなかった.さらに,無再発生存率(5年)(A群:46.9%,B群:46.7%,P = 0.83),全生存期間(5年)(A群:37.7%,B群:46.5%,P = 0.66)でも有意差を認めなかった.
(結語)
近年,画像診断の進歩に伴い術前に動脈走行の把握が十分可能となり,動脈破格があっても手術操作への影響が少なく,さらに再発・生存率についても同様に差がなくPDを施行できるものと考えた.一方,腫瘍と動脈の位置関係は通常より近接することから動脈浸潤する例もあり,治療戦略を含め今後の症例集積からさらなる検討が必要と考えた.
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