演題

PI11-4

下膵十二指腸動脈の位置の指標としての左腎静脈からの距離

[演者] 富丸 慶人:1
[著者] 野口 幸蔵:1, 長瀬 博次:1, 浜部 敦史:1, 広田 将司:1, 谷田 司:1, 森田 俊治:1, 今村 博司:1, 堂野 恵三:1
1:市立豊中病院 外科

【背景】膵頭十二指腸切除術において,膵頭部流入動脈である下膵十二指腸動脈(IPDA)を静脈系よりも先行して結紮切離することは,膵頭部側からの静脈性出血を防止することで出血量減少につながる有用な手技である.IPDAを術中に容易に同定するための指標として,これまでに上腸間膜動脈(SMA)や中結腸動脈起始部からの距離などが報告されているが,これらは時に応用困難であるため,より簡便で有用な指標が必要である.我々は,術前MDCTにて計測される左腎静脈からの距離がその指標になり得ると考え,今回,術前MDCTにて実際に計測したその距離について報告する.【対象・方法】これまでに当科にて術前に膵頭部の血流動態を評価するためにMDCTを撮像した417例を対象とした.対象症例において,撮像したMDCT画像を用いて,左腎静脈起始部尾側端からIPDA分岐部頭側端までの頭尾側方向の距離を計測した(IPDA分岐部が左腎静脈起始部より頭側に位置する場合はマイナスの値で表現することとした).【結果】IPDAは417例中415例において同定可能であった.左腎静脈起始部からIPDA分岐部までの頭尾側方向の距離は6.1±7.5mmであった.IPDAの分岐形態のパターンは,Type 1:IPDAが第一空腸動脈と共通管を形成した後に分岐する形態(323例,78%),Type 2:IPDAがSMAから直接分岐する形態(62例,15%),Type 3:後下膵十二指腸動脈(PIPDA)と前下膵十二指腸動脈(AIPDA)が独立してSMAから分岐する形態(30例,7%),に分けられ,その距離をタイプ別に評価すると,それぞれ,8.0±6.7mm,-0.8±5.7mm,-2.0±5.3mm(PIPDA分岐部までの距離)であった.Type 2,Type 3における距離は,Type 1と比較して有意に短かった(p<0.0001,p<0.0001).【結語・考察】左腎静脈起始部からIPDA分岐部までの頭尾側方向の距離は6.1±7.5mmであった.この距離は術前MDCTにて計測可能であり,この距離を計測することによってIPDAの同定が容易となる可能性が示唆された.
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