演題

PI11-1

膵頭部体部境界癌に対する至適術式の検討

[演者] 岩崎 寿光:1
[著者] 江﨑 稔:1, 岸 庸二:1, 奈良 聡:1, 島田 和明:1
1:国立がん研究センター中央病院 肝胆膵外科

【背景】膵癌の根治術は通常,膵頭十二指腸切除術 (PD),あるいは膵体尾部切除術 (DP)が選択される.膵頭体部癌は胃十二指腸動脈(GDA)に接しているとPDが,上腸間膜静脈(SMV)左縁より左側だとDPが選択されるが,その間の領域(境界領域)に腫瘍が位置する場合,術式選択に苦慮する.【目的】腫瘍の右縁がGDAより左側でSMV左縁より右側にある膵癌(膵頭体部境界癌:PhbC)に対する至適術式を明らかにする.【方法】当科で切除したPhbCの施行術式,臨床病理学的因子,術後短期・長期成績を解析検討した.【結果】2000年から2016年9月に当科で切除した膵癌751例中,PhbCは52例.その内,術前画像診断で動脈浸潤等の膵内の位置以外の因子で術式選択が決まった9例を除く43例は,全例でPDあるいはDPが予定された.膵断端(PCW)の術中迅速診断に基づいて追加切除を行ったが,PCW陽性でも,膵全摘(TP)非施行とした症例が7例(PD群: 3例, DP群: 4例)あり,これらを除いた36例を検討対象とした.男20例,女16例,年齢は68.6±9.4歳で,最終施行術式はPD14例,DP18例,TP4例となった.PD群とDP群を比較すると,DP群で有意に手術時間が短く(P<0.001),術中出血量が少なかった(P=0.013).PD群5例(38%)に#13, 17リンパ節(LN)転移を,DP群5例(27%)に#11, 18LN転移を認めた.術後再発をそれぞれ9例,8例に認め(P=0.308),遠隔転移・局所再発は(同時に指摘されたPD群1例を除く),PD群で4例・4例,DP群で6例・2例と再発形式(P=0.608)に両群で有意差はなく,LN再発はなかった.1年/3年無再発生存率(経過観察期間 23.4ヵ月)はPD群で61.5%/44.9%,DP群(他病死1例含む)で50.4%/50.4%(P=0.599),1年/3年全生存率は両群で各々84.6%/67.7%,93.3%/43.9%(P=0.905)で有意差を認めなかった.【考察】PCW陰性とできたPhbCは術式にかかわらずLN再発はなく,長期成績は同等であった.しかし#10LN転移は認めないものの,#11, 13, 17, 18LN転移の可能性があり,全身状態が許せば,それらを郭清する拡大PDが勧められる.
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