演題

もれない胃管作成法ー血流の良い胃管形成・吻合法および吻合部・胃管内視鏡観察に基づく術後管理法

[演者] 中島 康晃:1
[著者] 川田 研郎:1, 東海林 裕:1, 星野 明弘:1, 岡田 卓也:1, 奥田 将史:1, 久米 雄一郎:1, 川村 雄大:1, 山口 和哉:1, 河野 辰幸:1
1:東京医科歯科大学附属病院 食道外科

【背景と目的】"もれない"胃管を作成するには,血流が良い胃管を形成し,条件の良い部位で確実な吻合を行うだけではなく,適切な術後管理による縫合不全を未然に防ぐ取り組みが重要である.今回,当科における食道癌切除後胃管再建・吻合法の工夫を供覧するとともに,吻合部・胃管内視鏡観察に基づく術後管理法を報告する.
【対象】2003年以降当科で切除・再建術を行った食道癌症例745例中,胸骨後胃管再建術を行った471例を対象とした.
【胃管形成・吻合法】当科では胃大弯側の壁外血流と胃前後壁中央の胃壁内血管網に配慮し,吻合予定部位の良好な血流確保を最優先した必ずしも形状にはこだわらないフレックス胃管を用いている.これはまず前庭部では小弯線から大弯側へ深く胃壁を切り込み壁外血流が豊富な右胃大網動静脈支配領域では大弯線に沿った細めの胃管を形成することで胃管を延伸し,壁外拍動の途絶える部位の約3cm肛門側から先端付近までは胃壁内血管網を十分に温存した太めの胃管とし先端まで良好な血流を保つ胃管形成法である.そして吻合時に器械の挿入部に余裕をもたせ挿入部の閉鎖を安全かつ容易に行うため,胃管先端にカフを作成し,肛門側で食道胃管端側吻合を行う.盲端の閉鎖は吻合部より約3cm離れた部位で胃管形成時のステイプルラインに直行する向きで自動縫合器を用いて施行し,吻合輪全周の良好な血流を確保している.
【吻合部・胃管内視鏡観察】当科では2010年以降,原則術後第1,8病日に細径経鼻内視鏡を用いた吻合部・胃管観察を行い,第1病日の所見に問題がなければ第3病日より氷片を,第7病日より食事を開始している.
【結果】縫合不全は5例(1.1%)に認められた.内視鏡観察により術後第1病日は65例,第8病日は36例の異常所見をえた.特に第8病日では胃管粘膜の広範囲の粘膜脱落や,吻合部の厚い白苔の付着など,術後透視では発見できない異常を診断でき,26例で経口摂取開始を遅らせた.その結果,内視鏡観察開始後の縫合不全は1例にとどまっており縫合不全予防効果が示された.
【結語】当科の胃管形成・吻合法および吻合部・胃管内視鏡観察に基づく術後管理法は更なる縫合不全率の低下に寄与すると考えられた.現在, ICG蛍光法を用いた胃管血行動態の観察,新たな非侵襲的血流評価機器を用いた胃管酸素飽和度,ヘモグロビン量の測定も行っており,今回,これらの結果と術後内視鏡観察所見との関係も含め報告する.
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