演題

PI10-3

膵全摘術の問題点と短期・長期成績

[演者] 河野 博:1
[著者] 山元 啓文:1, 寺坂 壮史:1, 堤 宏介:1, 小倉 康裕:1, 井上 重隆:1, 橋爪 健太郎:1, 小島 雅之:1, 本山 健太郎:1, 中房 祐司:1
1:福岡赤十字病院 外科

【緒言】膵切除においては残膵の内分泌・外分泌機能温存が術後のQOLを大きく左右する.家族性膵癌や膵管内乳頭粘液性腫瘍において異時性の残膵再発や広範囲の膵管進展がある場合に,腫瘍を遺残させないために膵全摘が必要となることがある.このような場合膵内分泌・外分泌能が廃絶するため,適応は慎重にならざるを得ない.【目的・方法】当科で2008年2月から2016年12月までに施行した膵全摘症例(一期的膵全摘及び残膵全摘)について,短期・長期成績および本手術の問題点について検討した.【結果】症例は,通常型膵癌4例,膵管内乳頭粘液性癌(IPMC)4例,転移性膵癌1例の合計9例であった.通常型膵癌で一期的膵全摘例は1例,膵頭十二指腸切除後残膵再発が2例,膵体尾部切除術後残膵再発が1例であった.IPMCで一期的膵全摘例は3例,膵頭十二指腸切除術後残膵再発が1例であった.一期的膵全摘を行った理由は,通常型膵癌の1例では膵管内の広範な腫瘍進展のためであった.IPMCで一期的膵全摘を行ったのは,術前からの広範な腫瘍進展を認めていたものが1例,術中膵断端または膵管内洗浄細胞診陽性例が2例であった.いずれもR0手術であり,周術期にケトアシドーシスをきたしたものや,Clavien-Dindo grade 3以上の合併症を来たしたものはなかった.術後は強化インスリン療法,消化酵素薬などの補充療法を行った.予後は,通常型膵癌2例が局所再発で術後8ヶ月および1年5ヶ月で死亡,その他の通常型膵癌手術2例は無再発生存,平均生存期間は55ヶ月であった.また,IPMC症例では他病死1例を除く3例が無再発生存,平均生存期間は40ヶ月であった.【結語】膵全摘は術後の膵機能補充療法を要するためにQOL低下が懸念される術式であるが,治癒切除となれば長期生存も可能であり,適応を選択すれば適切な術式となりうると考えられる.
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