演題

悪性消化管閉塞に対し十二指腸-空腸バイパス術を施行した3例の手術経験

[演者] 萩原 千恵:1
[著者] 藤崎 洋人:1, 神谷 悠紀:1, 山田 暢:1, 松田 圭央:1, 尾之内 誠基:1, 戸倉 英之:1, 平畑 忍:1, 高橋 孝行:1, 藤崎 眞人:1
1:足利赤十字病院 外科

【諸言】悪性消化管閉塞に対する外科的治療として,最も多く行われているのは胃-空腸バイパス術である.しかし症例に応じて適切な術式は異なってくる可能性がある.我々は十二指腸水平部の腫瘍性閉塞に対して,胃-空腸バイパス術を施行したが,十分な経口摂取が適わずに失った症例を経験した.患者は術後も十二指腸下行部が常時拡張しており,貯留した消化液や食残が停滞していたことが持続した嘔気や食思不振の一因と考えられた.そこで以降は,十二指腸水平部から空腸起死部の悪性消化管閉塞に対するバイパス術では,十二指腸-空腸バイパス術を第一選択としている.当院で経験した3症例の治療経過を報告する.

【症例1】70歳代,男性.嘔吐を主訴に当院受診,十二指腸癌による十二指腸上行部の閉塞と診断された.腹膜播種があり根治切除不能であったため,十二指腸-空腸バイパス術を施行した.術後5日目から食事開始となり,術後15日目に退院となった.以降は外来通院で化学療法(S-1)を実施し,術後1年で原病死された.経口摂取は直前まで継続可能であった.

【症例2】70歳代,男性.嘔気を主訴に当院受診,空腸起始部への浸潤を伴う膵体部癌と診断された.大動脈周囲リンパ節転移にて根治切除不能であったが,消化管閉塞を伴っていたことから十二指腸-空腸バイパス術を施行した.術後6日目から食事開始となり,術後14日目に退院となった.以降は外来通院で化学療法(GEM+S-1)を実施し,術後8ヵ月で原病死された.癌性腹膜炎が増悪する1ヶ月前までは経口摂取も良好に継続できた.

【症例3】70歳代,女性.嘔吐を主訴に当院受診,胃癌で幽門側胃切除術,Billroth I法再建の既往があった.膵体部癌の十二指腸上行部への浸潤による消化管閉塞と診断された.肝転移があり根治切除不能であったため,十二指腸-空腸バイパス術を施行した.術後7日目より食事開始となったが,術中に判明した広範な腹膜播種が原因で経口摂取は困難であった.術後2か月で原病死された.

【結語】十二指腸-空腸バイパス術のメリットは,食物と消化液が極力生理的に流れることである.手技も安全で簡便に施行できる.当院で施行している手術手技と治療成績を供覧する.
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