演題

上部消化管穿孔に対する手術加療・保存的加療の検討

[演者] 田村 太一:1
[著者] 金光 聖哲:1, 阿河 杏介:1, 松永 隆志:1, 若原 智之:1, 吉川 卓郎:1, 芦谷 博史:1, 土田 忍:1, 植野 望:1, 豊川 晃弘:1
1:淀川キリスト教病院 外科

【背景】胃十二指腸穿孔に対する治療として,腹部症状が比較的軽度の場合や全身状態が良好な場合は保存的治療を選択することもある.しかし一定の確率で状態が悪化し手術の方針に変更となることが少なくない.保存的加療で改善せず手術を行った症例を,当初から手術を行った症例と比較検討した.
【目的】胃十二指腸穿孔に対する保存的加療先行後手術例における,優位性・劣位性を明らかとする.
【方法】2005年3月から2014年12月の間,当科にて手術加療を行った胃十二指腸穿孔例86例を検討した.当初から手術を施行した68例(手術群)と,保存的加療を先行しその後症状悪化などのため手術加療を行った18例(保存群)とに分けて検討した.
【結果】患者背景について,年齢・性別・来院時の白血球数およびCRP値は2群間で差を認めなかった.来院時の腹部所見について,限局性であったのは手術群で16例(24.2%)であるのに対し,保存群では10例(58.8%)であった.手術時間・在院日数・術後在院日数に差を認めなかったが,保存群でClavien-Dindo分類3以上の術後合併症が有意に多かった(15.9% vs 41.2%).また,手術群・保存群ともに2例の死亡例を認めた(2.9% vs 11.8%).
【結論】初診時の腹部症状が軽度である場合には,まず保存的加療を選択することが多い.保存的加療が奏効せず手術加療に切り替えた場合は,入院期間の延長は認めないが術後合併症率が高くなる可能性がある.そのため保存的加療を選択する際には,その後手術加療が必要となり合併症を生じた場合に,患者が耐えうるかどうかを慎重に考慮する必要がある.
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