演題

胃全摘兼食道空腸Roux-en Y吻合術での迷走神経・下部食道括約筋温存の有用性

[演者] 富田 凉一:1
[著者] 藤崎 滋:1,2, 櫻井 健一:2, 朴 英智:1
1:日本歯科大学生命歯学部外科学講座, 2:藤崎病院外科

【目的】胃癌胃全摘兼食道空腸Roux-en Y吻合術(TGRY)では,術後アルカリ逆流性食道炎(ARE)によりQOL低下を来たす症例もある.そこで,AREの予防に下部食道括約筋(LES)温存TGRYを行ってきた.今回さらに,迷走神経温存の有用性について報告する.【方法】LES温存TGRYが施行された24例をA群(迷走神経非温存:進行癌)10例(男性6例,女性4例,43-75歳,平均66.1歳)とB群(迷走神経温存:早期癌)14例 (男性9例,女性5例,40-78歳,平均68.5歳)の2群に分けた.これら対象症例での迷走神経温存の有無とLES機能(下部食道内圧検査によるLES長[LLES]と最大LES収縮圧[MLESP])について,対照(C群)20例(男性13例,女性7例,46-78歳,平均67.6歳)を用い比較検討した.なお,対象症例は術後3年以上経過した症例である.【成績】1) ARE症状(胸焼け,逆流感,つかえ感など)は,A群(30%;3/10)がB群(0%; 0/14)より有意に多かった(p=0.0284).2)内視鏡的AREは,A群(20%; 2/10 , Los Angels 分類ではGrade A)がB群(0%; 0/14)より多い傾向を示した(p=0.0805).3) LLESは,A群(2.4±0.9 cm)がB群(3.2±0.6 cm)より有意に短かった(p=0.0156).また,B群がC群(4.1±0.6 cm)より有意に短かった(p=0.0015).4) MLESPは,A群(11.1±2.8 mmHg)がB群(16.2±2.1 mmHg)より有意に低かった(p<0.0001).また,B群がC群(21.1±5.2 mmHg)より有意に低かった(p=0.0022).【結論】LES温存TGRY術後のAREの予防には,対照例よりLES機能は低下を認めるものの迷走神経温存が有用であると思われた.有用性を明らかにするには今後さらに症例を重ね検討していく必要があると考えている.
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