演題

胃癌術後の異時性卵巣転移に対して卵巣摘出を行い比較的良好な経過を得た1例

[演者] 松本 圭五:1
[著者] 稲葉 圭介:1, 飯野 一朗太:1, 遠藤 祐介:1, 鈴木 淳司:1, 神藤 修:1, 宇野 彰晋:1, 深澤 貴子:1, 落合 秀人:1, 鈴木 昌八:1
1:磐田市立総合病院 外科

【はじめに】胃癌卵巣転移例の予後は極めて不良であるとされている.今回,胃癌術後,異時性卵巣転移に対して子宮および両側付属器切除を行い,比較的良好な経過を得た1例を経験したので報告する.【症例】57歳女性,平成22年3月,LM, Ant, Type3, 35×32mm, tub2 and por, pT4a(SE), ly2, v1, pN3b(23/40), M1, CY1, StageⅣ胃癌に対して開腹幽門側胃切除D2, 胆嚢摘出,BillrothⅠ法再建術 R1手術を行った.術後TS1の内服投与を継続して行っていたが定期経過観察のCT検査で左卵巣の腫大(2.5cm)を認め,卵巣転移(Kruckenberg腫瘍)と診断し,胃癌術後約4年で,子宮および両側付属器切除を行った.再開腹時の腹腔内観察では,腹水細胞診は陰性で,腹膜播種や肝転移,リンパ節腫大は認めなかった.病理では,胃癌組織に類似した中から低分化腺癌で卵管や子宮の卵管付着部付近にも癌を認めた.卵巣摘出後もさらに1年間のTS1の内服を行い,その後は経過観察しており,現在初回StageⅣ胃癌術後6年9か月生存中で,卵巣転移摘出後は2年9か月無再発生存中である.【考察】胃癌の卵巣転移はKruckenberg腫瘍として有名であるが,実際の診療で経験する機会は決して多くない.当科でも8年間480例の胃癌手術例で1例のみであった.また,予後は極めて不良で,たとえ切除しても1から2年以内という報告が多く,切除後30か月以上の生存の報告も20例に満たない.今回の症例では卵巣転移の摘出をはさみ5年間のTS1の投与も行っており,積極的な転移の切除とTS1の内服が比較的長期予後をもたらした可能性がある.【結論】予後不良とされる胃癌卵巣転移切除例の比較的経過良好な1例を経験した.積極的な卵巣転移の切除および化学療法が長期生存をもたらす可能性がある.
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