演題

当科における胃管再建でのICG蛍光法の使用方法:90秒ルールの妥当性

[演者] 熊谷 洋一:1
[著者] 傍島 潤:1, 石畝 亨:1, 小倉 俊郎:1, 天野 邦彦:1, 幡野 哲:1, 福地 稔:1, 石橋 敬一郎:1, 持木 彫人:1, 石田 秀行:1
1:埼玉医科大学総合医療センター 消化管外科・一般外科

目的:胃管再建術において血流の良好な再建臓器の作製が基本である.胃管再建におけるICG蛍光法は,右胃大網動脈が造影されてから胃管先端の造影までに要する時間が血流を反映する可能性があり造影時間を参考に血流の良好な場所に吻合し縫合不全を回避している.当科におけるICG蛍光法の使用方法,成績を報告する.
対象と方法:2012年2月より2016年11月まで食道切除・胃管再建を行った95例を対象とした.胃管作成後にICG5mgを静注しPDEにて観察する.2012年2月より2014年1月(A群:39例)では造影時間で吻合部位を決定せず,2014年1月より右胃大網動脈根部の造影から90秒(可能であれば60秒)以内に造影される場所に吻合し,余剰部分は切除している(B群:56例).胃管作成時に留意している点は,a)大彎側の遊離の際,左右の胃大網動静脈の連絡がない場合でも左胃大網動脈を脾下極で処理し胃管側につける.b)胃の切離線は胃表層の微細血管形態を参考にしている.胃漿膜面から観察される微細血管網が胃の長軸に対して小彎側では垂直に大彎側では平行になるがこの境界部を切離ラインとし,亜全胃管を作成する.3)食道-胃吻合は,原則手縫いで胃管後壁に端側,層々2層吻合で行っている.
結果:胃管先端壊死をA群の2例に認めた.短胃動脈領域全長壊死例は先端まで造影にかかった時間は138秒,胃管先端壊死例は先端までの造影時間は103秒であった.ビデオ判定の結果,壊死部分は造影に90秒以上要した部分であった.吻合部の縫合不全はA群の2例に認めたが,造影時間は36秒,14,5秒であった.これらの症例は頸部食道癌切除後のため吻合部に緊張のかかった症例,術後呼吸不全のためマスク陽圧換気を必要とした症例であった.B群の29例にICG蛍光法所見から胃管先端切除が行われた.胃管先端切除が行われた症例は先端までの造影に要した時間が中央値58.5秒(21-164秒)であった.切除により胃管先端の造影時間は29.5秒(9-75秒)となった.B群では胃管壊死,吻合部の縫合不全は認めなかった.
ICG蛍光法を用いると胃管の血流が可視化できる.血流の評価には胃管先端までの造影時間が有用で90秒(可能であれば60秒)以内で造影される場所に吻合すれば胃管血流の観点からは胃管壊死,縫合不全は回避可能である.
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